夏休みの宿題の中でもウエイトの重たいのが「読書感想文」。手を焼く理由の一つには、そもそもの本選びも挙げられます。「読書感想文が書きやすい本は?」「低学年・中学年・高学年それぞれに向いている本は?」「面白い本じゃないとなかなか読み進められないかも…」などなど、本選びは読書感想文の第一手として多くの子どもたちの悩みのタネになっているのではないでしょうか。
今回は、小学館の通信教育【名探偵コナンゼミ】の国語の作問者である佐藤友樹先生に、小学生の読書感想文におすすめの本を、低学年・中学年・高学年それぞれピックアップしてもらいました。
どれも子どもたちの好奇心をくすぐる、この夏休みおすすめの本ばかり!ぜひチェックしてみてくださいね。
低学年向け読書感想文におすすめの本
低学年(小学1年生・2年生)の読書感想文は、お子さん自身の日常とリンクしやすいものがおすすめ!
共感できる内容や、普段の暮らしでお子さんが興味があるものを選ぶと、読書に慣れてないお子さんでも最後まで飽きずに読み進めることができ、楽しく読めて読後の感想も浮かびやすくなります。
『大ピンチずかん』
鈴木のりたけ=作・絵(小学館)
子どもが出会う世の中のさまざまな「大ピンチ」を、段階にわけてレベルの小さいものから紹介しています。その対処法もわかるようにいろいろな角度からピンチを解き明かします。共感しながら読めて役に立つ本です。
『給食室のいちにち』
大塚菜生=文/イシヤマアズサ=絵(少年写真新聞社)
「給食はどうやってできるのか」。その裏側にある苦労を、栄養士である筆者が、材料や調理、食に関する指導、献立づくりまで、小学校の給食の現場をわかりやすく絵本にしています。楽しく学べる本としておすすめです。
中学年向け読書感想文におすすめの本
小学3年生・4年生の中学年であれば、身近なところでもよいので、子どもの周りの社会を意識できるような本もおすすめです。長い夏休み、読書感想文を通して自分と社会とのつながりを意識できるようになればお子さんの成長にもつながりますね。
『すごいゴミの話』
滝沢秀一=文(学研プラス)
現役のゴミ清掃員でもある、漫才師の滝沢秀一さんによる、現代社会の「ゴミのはなし」。清掃員だからこそわかる現代の日本のゴミの問題を写真や図表を用いて教えてくれます。すべての現代人人に読んでほしい本です。
『みんなのためいき図鑑』
村上しいこ=作/中田いくみ=絵(童心社)
どんな時にみんなが「ためいき」をつくのか調べて発表することにしました。でも、みんなの「ためいき」を調べるのはなかなかたいへんでした。共感できて内容も面白いので読書が苦手な人にもおすすめです。
高学年向け読書感想文におすすめの本
お子さん自身、どんどん成長していく小学5年生・6年生の高学年なら、人の人生そのものに触れ、考えられるような作品がおすすめ。伝記やエッセイなどの作品で読書感想文を書くことは、今後どんどん広がっていく人とのつながりにより深みを持たせてくれるでしょう。
『センス・オブ・何だあ? ― 感じて育つ』
三宮麻由子=作(福音館書店)
幼いころに視覚を失った著者が、感じることの大切さを説いています。知識だけを詰め込むのではなく、匂いや音、ふれることなどによって受け取る、感覚の「情報」の豊かさを具体的に教えてくれます。
『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』
石井哲代=作・中国新聞社=著(文藝春秋)
年の離れた人の話を聞くことは、いい経験になります。102歳で畑仕事をしながら一人暮らしを続ける哲代おばあちゃんから、自分らしく心も体も健康に保ちながら生きるための、数々のヒントを受け取ることができます。
お子さんの興味・好奇心を盛り上げる本を選んでみよう!
いかがでしたでしょうか。
読書感想文の本を選ぶとき、ボリュームのある物語や泣ける感動作品が良いのでは、と思ったりしていませんでしたか?実はお子さんが興味・好奇心を持ちやすいものを選ぶのがベスト。
自ら楽しく読み進められ、そして自発的な気づきがあり、それを誰かに共有したいと思える。そこまでが読書感想文の醍醐味です。まずは本選びから、お子さんにあわせてこだわって選んでみてはいかがでしょうか。
この夏、読書感想文を通して、お子さんたちが大いに成長しますように!
佐藤友樹先生プロフィール
小学館の通信教育「名探偵コナンゼミ」の作問者。予備校講師、受験塾講師などを経て、国語問題の作成および分析のプロとして活躍。言葉への造詣が深く、愛情をもった指導に定評がある。著書に、ドラえもん学習シリーズ『ドラえもん国語おもしろ攻略 百人一首を楽しもう』『ドラえもん国語おもしろ攻略 敬語早わかり』(ともに小学館)など多数。