各分野で活躍している方の子ども時代からの話を聞きながら、目標実現の原動力や自己の発信力のヒントを得るインタビュー企画「叶えるちから、伝えるちから」。
今回は、Bリーグでプロバスケットボール選手として活躍している平岩玄選手(25)にインタビューしました。
目次
バスケットボール選手になる、という夢のはじまり
東海大学在学中にBリーグ特別指定選手(※)に選ばれ、現在アルバルク東京に所属している平岩選手。身長200㎝、ポジションはセンター。バスケットボールの出会いは小学1年生の頃だった。
※特別指定選手…満22歳以下のバスケットボール選手を対象に、連盟の垣根を越えて、個人の能力に応じた環境を提供することを目的としたBリーグの制度。
―小1で身長がすでに132cmあって。姉がやっていたミニバスのチームに遊びにいったら、やってみないか、と声をかけられて始めました。3年生になるまではフットワークなどボールを触らない練習が中心。週1の練習ではありましたが、泣きながら練習していたみたいですね(笑)。
ただ、公園などで家族とバスケを楽しむことも多くて。そのおかげか、単純につらいだけじゃなく、根底ではバスケを気に入っていたんだと思います。(平岩選手・以下同)
バスケの練習がある日以外は帰宅後ランドセルを家に放り投げて公園に遊びにいくような普通の元気な小学生。
中学年でさらに体が大きくなると試合にも出られるように。バスケを楽しいと感じることも、また、姉や年上のプレーヤーたちに負けて悔しさを覚えることも増え、もっとバスケをやりたいという気持ちが芽生えだした。
小学校高学年の頃に埋めたタイムカプセルの中には、高校・大学で日本一になりバスケットボール選手になるという夢がしっかりと記されていた。
支えてくれる人たちを想うことで前へ進んでいけた。
中学に進むと、学校の部活の他にもクラブチームにも所属。1年生ではジュニアオールスターに選ばれ、2年生では愛知県の強豪クラブに移籍。地元の大学の練習にも参加するなど、試合に出ればどんどん評価された。
それでもけっして慢心することなく歩みを進められたのは、当時のクラブチームの恩師の影響。
―日本代表に選ばれだしたタイミングでいろんな大会や練習試合、高校の練習に連れ出してくれて「まだ上には上があるぞ」ということを常に教えてくれました。もっと自信満々でプレーしてみたかったとも思いますが(笑)。僕自身そのバランスは大事だと思っているので。ただ、僕の場合は自分が満足できてないから突き進めた部分はあったのかなと。
恩師からいまだ強く影響を受けていることはまだ他にもある。
―「自分を送り出してくれる場所を大事にしろ」ともよく言われました。確かに、学生時代は僕を日本代表やプロリーグに送り出してくれる仲間たちのおかげで僕も出向いたチームにも貢献したいという気持ちになれたんです。なので、支えてくれている人たちを大事にしよう、という意識は自分の中でずっと根強いものですね。
不撓不屈。どんなにつらいことも、今の自分につながっている。
中学卒業後は関東への大学進学を視野に入れ土浦日本大学高等学校に進学。国体では茨城県として優勝、ウィンターカップでは惜しくも優勝は逃したものの、そのときの気持ちは晴れ晴れとしたものだった。
―悔しいというよりも「やっと終わった」という気持ちでしたね。チームとしても個人としてもしっかりやってきたという自信があったので。振り返ってみれば、ミニバスの退屈な練習も高校時代の厳しい規律の積み重ねも、今の自分につながっているんだな、と強く感じました。
座右の銘は「不撓不屈(ふとうふくつ)」。つらい時ほどこの言葉が響く。困難な状況でも前に進み続け、プロバスケットボールプレーヤーという現在にたどり着いた彼本人が体現しているともいえる。
仕事としてのバスケ。専門的に自分の強みを突き詰めて、より高みを目指したい。
プロになってからは、自由にプレーをさせてもらっていた大学までとは違い、自分の強みをひたすら磨き上げていくことが必要だということを痛感した。
自分が求められていることやできることから最高の理想像を描き、それに届かないところを引き上げていくという鍛錬の日々。
―バスケは弱点をみんなで補っていくスポーツともいわれていて、身長の高い低い、スピードの速い遅い、シュートの上手い下手、様々な個性の集まりがそれぞれの仕事を出し合うスポーツです。
それぞれが専門性をつきつめてプロフェッショナルになる、という意味で、これは「仕事」なんだなと感じます。
自分のポジションであるセンターは外国籍選手が担う事が多いポジションですが、いつか「平岩がいれば外国籍選手がいなくても大丈夫だよね」といった周りからの信頼・尊敬を得て、リーグの顔ともなれるような選手を目指したいです。
また、その一方で、公認会計士を目指して勉強中でもある。
―Bリーグはいい選手も増えてきていて、毎年、契約継続できるかというシビアな世界です。そこで自分の目指す道を突き詰める、ということをまず第一として、ただその他にも自分の人生のうちでやりたいことはやりたい。
然るべきタイミングで他のやりたい道に進む、というビジョンはいつでも持っていたいと思っています。
そんな彼が今の子どもたちに伝えたいことは―。
―バスケだけでみても、今はユースがあったりコーチも育ったりしていて、個人レベルでもYouTubeなどで情報収集をして技術を磨くこともできるようになりました。
バスケだけじゃなくて、ダンスやストリート競技、eスポーツといった比較的新しいものも急激に普及しだして、同様のことが起こっています。
子どもたちの選択肢が増え、チャレンジできる環境も整ってきているはずなので、様々なものに触れて、挑戦してみて、自分の可能性を広げてほしいですね。
<平岩玄選手プロフィール>
1997年12月5日生まれ、愛知県出身のプロバスケットボール選手。アルバルク東京所属。高校時代に国体優勝、ウィンターカップ準優勝を経験後、東海大学2年次に琉球ゴールデンキングス、3年次にアルバルク東京とそれぞれ特別指定選手契約を結び、2019年よりアルバルク東京とプロ契約。ポジションはセンター。インサイドの強さと速さを武器に外国籍選手と渡り合う、日本代表候補にも選出されている注目選手。
Bリーグ2022-23シーズン は9/29から開幕。アルバルク東京の初戦は10/1、東京ホームゲームは10月7日(金)、8日(土)から。
絶賛、チケット発売中です!
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