施設の中での取り組み
現在の日本では、全体の犯罪件数は減少傾向にあるものの、刑法犯により検挙された人のうち、再び罪を犯してしまう再犯者の占める割合(再犯率)が増加傾向にあります。日本の検挙者数のうち約半数は再犯者というのが実情です。
なぜ再犯してしまうのか? 本人の反省が足りていないからだとか、もともと悪人だからだとかという指摘もありますが、そういった理由以外に「さまざまな生きづらさを抱えた結果」である場合が多く見受けられます。
例えば、虐待や家庭環境が原因で人間関係を構築できず孤立したり、親からの適切な支援を受けられずに、人としての基本的な生活を学ぶ機会がなく、就労に行きづまり、困窮状態に陥ったりすることなどが挙げられます。
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小学館集英社プロダクションは、受刑者の一人ひとりと向き合うことで、各人が抱える「生きづらさ」の原因にアプローチし、これまで培ってきた教育のノウハウを活かして、再犯しない生活を送るための職業訓練や教育プログラムを提供しています。
受刑者の更生と社会復帰を目指すことが、新たな被害者をなくし、社会をより良くしていくことに繋がるという信念のもと、各施設で採用された専門職員が出所後の社会復帰を見据えた教育と支援を行っています。
施設外での取り組み
再犯防止には出所者の社会復帰に対する地域の皆さまの理解も不可欠です。刑期を終えて社会に戻っても、周囲との関係がうまくいかず、就労できなかったり、続かなかったりして再び罪を犯してしまうことも多くあります。
私たちは日々受刑者と向き合いながら、社会復帰に向けて広く理解していただくことを目指し、矯正事業に関する広報活動にも取り組んでいます。
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再犯防止イベント
「刑務所と協働するソーシャル・イノベーション」
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再犯防止イベント
「刑務所と協働するソーシャル・イノベーション」
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法務省YouTube番組
「再犯防止ってなに?」
小学館集英社プロダクション矯正教育の理念
受刑者がいずれ社会に戻るにあたり、スムーズに社会復帰ができるよう、そして再犯しない生活を送れるよう、在所中に「心」「技」「体」を整えるべく教育、支援するということを理念として掲げています。
また、経営理念である「エデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントを掛け合わせた造語。学びに楽しさをプラスし、娯楽に学びの要素を備えることとしています)」を刑務所という場所においても大切に、民間企業として質の高いサービスの提供を心がけています。
各種プログラムを通じて更生を図る「教育業務」、一人ひとりの出所後の就業のため多様なスキルを身につけるための「職業訓練業務」、社会復帰に向けた良好な環境づくりをマネジメントする「分類業務」、健康を維持する「医療業務」といった4つの分野を通して、教育事業に携わってきた長年のノウハウを活かし、どんな人にも等しく存在する「教育を受ける権利」にふさわしい学びを提供することを目指しています。