2020年度に改定された学習指導要領では、英語教育の早期化やプログラミング教育の導入をメインに、小学生の学習内容がさらに広がりました。中でも注目を集めたのがICTを活用した授業・学習ではないでしょうか。
「タブレット学習」は主流となり、多くの小学校で授業にタブレットが導入がされています。そうなると気になるのが従来の「手書き学習」。タブレットで学習するのか、手書きで学習するのかというのは、特に家庭学習においては教材を選ぶ際の大事な要素にもなりますよね。今回は、タブレットと手書きのそれぞれのメリット、デメリットを比較しつつ、バランス良く取り入れていくコツなどをご紹介します。
「タブレットより手書き!」と思っている人も、「今の時代、やはりタブレット!」という方も「どちらがおすすめなのか教えてほしい!」という方も、ぜひご一読ください。
目次
タブレット学習が主流に??「ICT教育」は具体的にどのようなことをする?
その前に、ICT学習の現状について簡単に見ていきましょう。
「ICT」、正式にはInformation and Communication Technologyと言い、一般には「情報通信技術」と訳されます。簡単に説明すると、「タブレットパソコンや電子黒板などの情報通信機器を活用した学習を取り入れること」。総務省のプロジェクトで、2010年からICT導入の実証研究はなされてきました。すでにいくつもの小学校で生徒1人1台のタブレットパソコンを用意し、電子黒板とタブレットで授業を進めている状況は皆さんの知るところだと思います。
参考:フューチャースクール推進事業 平成22年度~25年度|総務省
今後も小学校・中学校・高校でのICT教育はどんどん進化していくことでしょう。
タブレット学習だけで大丈夫?手書き学習の利点はこんなところに。
ICT教育が浸透してくるなら、タブレット学習に慣れないと…と思う中で、手書き学習に慣れ親しんだ親の世代は少し不安も感じるのではないでしょうか。具体的には、タブレットを操作するだけで本当に学習が定着するのか、幼児や小学生のうちにたくさん書かなくて覚えられるのか、というようなことです。「実際に書く」という体験にどのような学習効果があるかを見ていきましょう。
手書き学習の効果について触れるならば、2016年4月6日配信のウォールストリートジャーナル(By ROBERT LEE HOTZ)『あなどれない「手書き」の学習効果』によると、「書く」というプロセスが情報を記憶に深く焼き付ける」ことが科学的にも明らかにされてきたと記しています。
米プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者のデーターによると、パソコンに打ち込むより手書きでノートを取る学生の方が総じて成績が良いことが判明。同じくノートの取り方を比較した別の研究者の実験でも、タイピングよりも手で書く人の方は学習内容の飲み込みが良く、情報を長く記憶し、新しいアイデアを理解するのにもたけていることが分かったということです。
紙の「じっくり学ぶ」 と タブレットの「ざっくり学ぶ」
早稲田大学社会科学部・社会科学総合学術院教授、有馬哲夫氏の著書『世界のしくみが見える「メディア論」』(宝島社)では、紙とタブレットの違いを以下のように分析しています。
紙面を読むときは「分析モード」=じっくり学ぶ「人は紙に印刷された文章を読むときには、脳生理学的に〈分析モード〉になり、同時に心理学的には〈批判モード〉になるため、より細かいことに注意を払いながら読み進められる」
例えば、紙は、問題を解く中での途中式や、考え方のものとなる図などを書き込みながら考える習慣もつき、途中経過が目にみえることによって、「どこが間違ったか」「どうして間違ったか」がわかりやすく理解しやすいという点があります。
画面上では「パターン認識モード」=ざっくり学ぶ「パソコンなどの画面上で文章を読むときは、脳は〈パターン認識モード〉になり、細かい部分は無視して、全体的な流れを追うような読み方をする」
例えば、子どもたちのペースというよりは機械が次々と目の前に問題を用意してくれるため、短時間にざっくりと多くのカリキュラムをこなすことができます。
「認識する」という点で言うと、紙とデメリットでは、一方のメリットとデメリットが相反する関係のようです。
それでは、子どもたちにさせる学習法として紙とタブレット、どちらがより学力向上に有益なのでしょうか。
定着させるならタブレットより手書き!書く→記憶する→復習の学習ルーティン
ウォールストリートジャーナルの記事によると、実は、キーボード派の方が「短期間(講義の直後)ならば効果を上げるが、こうした優位性は一時的」ということを記しています。24時間後、また1週間後と比べると、手書き派の方がキーボード派よりも、情報が脳に定着している度合いが高く、また、これについては幾つもの科学的な証拠があるとのこと。
さらに興味深いのが、パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多く、さらには、大量のノートを見返しても記憶を呼び戻すのにあまり有効ではなかったという複数の研究データです。
対照的に、手書きでノートを取った学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要をよく覚えており、専門家は、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘しています。また、手書きのノートはよく整理されているため、復習にもより大きな効果を発揮するということから、学校でICT教育が導入されていくタブレット流行りの昨今でも、紙学習をあなどってはいけないというわけです。
紙での学習を重視しつつ、シーンや子どものタイプよってタブレットを使うのもよい。
しかし、ゲーム感覚で興味をもって学習に取り組めるタブレット教材は幼児や小学生にも大人気。口コミで人気の英語や図形の学習アプリが苦手克服にも一役買っているケースもあるのでは。さらにICT教育が小学校でも進む考えると、タブレットでの学習にも慣れたいと考えたくなるかもしれません。
おすすめなのは、紙での学習を重視しながら、タブレットも活用するというスタイル。
例えば、なかなか学習に取り組めない小学生であれば、タブレットで学習への興味関心をざっくりと持たせたのちに、紙でじっくりと学ばせるなどの方法も効果的なのではないでしょうか。
また、英語は音声での学習などデジタル学習と親和性が高いともいわれています。音や文脈(ストーリー)の要素を学ぶときはタブレットを有効活用しつつ、アルファベットや単語をしっかり書く、というのもおすすめです。また、英語そのものに興味を持つきっかけとしてもよいですね。
つまり、子どもたちの学ぶ内容や目標によって、あるいはそのお子さんの特性によって、どのシーンにタブレットあるいは手書きのどれを使うかを、うまく選択するということが必要になってくるのかもしれません。
手書き学習での定着を重視し、タブレット向けデジタルコンテンツも充実している小学生向け通信教材
いかがでしたでしょうか。今回は、タブレット学習と手書きの学習の比較、それぞれを使いこなすコツについてご紹介しました。学校でICT化が進むことも鑑みながら、教材を選ぶ際、お子さんのタイプや学習内容によってどちらも使えたらとても便利ですよね。
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参考:
WSJ「あなどれない『手書き』の学習効果」
『世界のしくみが見える「メディア論」』(宝島社)