新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、昨年の一斉休校や外出自粛の流れで、子供がゲームをする時間が増えたというご家庭は少なくないようです。先の見えない不安の中、コロナ以前のように自由にレジャーを楽しめないゴールデンウィークは、「子供のゲーム時間が増えそう」と、頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで、各ご家庭のゲーム事情を紹介するとともに、ゲームとの上手な付き合い方を探ります。
コロナでゲームにのめり込む子供が増加
親御さん世代のゲームといえば、テレビゲームが主流でしたが、現代では、ウェブブラウザとインターネットに接続する環境があれば、アプリのインストールやデータのダウンロードなどが必要なく遊べる無料のブラウザゲームも充実。パソコンやスマホ、タブレットで、より手軽にゲームを楽しめるようになりました。また、コロナの影響で放課後友達と集まって遊ぶ機会が減ったため、その分オンラインゲームでコミュニケーションをとる傾向にあるなど、子供をゲームから遠ざけるのは難しい時代です。
こうした中、多くのご家庭で「子供のゲーム時間が増えた」という声が聞かれました。
◆おうちの人の声
「昨年の一斉休校のタイミングで親戚からプレゼントしてもらい、スイッチデビューしました。パズルゲームや知育系のゲームなど、勉強につながるゲームをやってほしいと思って買い与えましたが、親の思惑に反して、そういうゲームはすぐに飽きてしまいました。私も夫もテレワークでしたがウェブ会議も多く、そういうときはゲームを許可していたので、当時1日3時間くらいはプレイしていましたね」(小2男児の母)
「コロナで友達との遊びが制限されてかわいそう…と始めることにした、人気のオンラインゲーム。友達楽しそうに会話しながら遊んでいたうちは良かったのですが、やはり依存性があり、日ごとにゲームをする時間が増えていきました。今でこそルールを決めていますが、当時は私自身も世の中の状況的に仕方ないと思っていたフシがあり、特に制限をしていなかったのがよくなかったと思っています」(小4男児の母)
「コロナ太り解消のためにフィットネスゲームを購入し、家族みんなで週末に楽しんでいました。一時的に娘がゲームをする時間が増えましたが、しばらしたらゲーム熱も落ち着き、今は月に2~3回、するかしないかといったところです」(小5女児の母)
ゲームのルールをつくる前に子供とすること
友達とのコミュニケーションツールになったり親子で楽しんだリと、ゲームは悪いことばかりではありません。
大切なのは、視力低下やゲーム依存にならないためにも、ルールを決めること。さらに、お子さん自身もそのルールの意義を理解することです。そのためにも、ルールをつくる前に、まずはお子さんと以下のことを話し合いましょう。
1.なぜルールが必要なのかを話し合う
ルールを設けないとどんな危険性があるのかを話し合いましょう。
「長時間のゲームは目や脳に悪影響がある」「課金システムのあるゲームがある」「ゲームにのめり込みすぎて離れられなくなることがある」など、思いつく限りの危険性をリストアップします。お子さんにも「どんな危険性があると思う?」と、聞いてみると良いでしょう。
2.親子で一緒にルールを決める
危険性を話し合った後は、その危険性を回避するためにはどんなルールが必要なのかを話し合いましょう。こちらもお子さんも一緒になって考えるのがポイントです。親が一方的に決めたルールよりも、自分自身が自主的に決めたルールの方が守ろうと思えるもの。具体的な回数や時間を決める際は、具体的な数字についてもディスカッションしながら決めていきましょう。
こんなルールが効果的!
子供がゲームをする上で、多くのご家庭では約束事を作っていると思います。
実際に、どのようなルールを作っているのでしょうか。実例をご紹介します。
- 「平日は45分、休日は90分まで」などと制限時間を決める
- ゲームをやるのは勉強が終わってから
- ネット設定はしない
- ゲームか動画のいずれかを選ぶ。ゲームをした日は動画は見ない
- 寝る前の1時間はゲームをしない
- きょうだいでゆずり合う
- 暴力的なゲームはしない
- ルールを破ったら3日間ゲームは禁止
ゲームをやる前に勉強や宿題だけでなく、翌日の準備まで終わらせるというご家庭もありました。また、制限時間を守らせるには、タイマーを使うのがおすすめです。
ゲームをご褒美にしても良いの?
次に、ゲームのメリットについて考えてみましょう。
まず、ゲームは息抜きになります。純粋に楽しいので、ゲームができるとなると、勉強のモチベーションも上がります。
「ゲームがないと勉強をしなくなるのでは?」「勉強をさせるためにご褒美を与えて良いの?」と、子供をご褒美で釣ることに抵抗がある親御さんもいらっしゃると思います。
ところが、米ハーバード大学のローランド・フライヤー教授が行った大規模実験があります。
子供の学力を上げるために、
A「1時間勉強したらお小遣いをあげる」
B「テストで100点を取ったらお小遣いをあげる」
とした場合、Aの「1時間勉強したらお小遣いをあげる」とした方が成績が上がるという結果になりました。
つまり「遠い将来」よりも「近い将来」に、さらに成果を出す「アウトプット」よりも知識を得る「インプット」にご褒美を与えたたほうが効果があったのです。
また、最近は日常のさまざまな課題をゲーム化して課題の解決を行う「ゲーミフィケーション」を教育に取り入れ、楽しく自発的に学ぶ仕組みづくりをしていく動きが出ています。ゲームの特性を活かすことで、子供のモチベーションをあげることが狙いです。
イヤイヤ勉強をするよりも、楽しく勉強する方が知識の習得率は上がります。
こうしたことからも、ゲームをご褒美にすることは、やり方によっては効果的だということがわかります。
例えば、制限時間内に出された計算問題をすべて解かないとゲーム上の部屋を脱出できないなど、ゲームの要素を盛り込んだ学習アプリなどは楽しく勉強できる仕掛けがいっぱいなので、利用してみるのもひとつ。
勉強に集中できないお子さんや勉強嫌いのお子さんが勉強の楽しさを知るきっかけとなるかもしれません。
ゲームに対してネガティブなイメージを持つばかりではなく、ルールや活用方法をよく考えて、うまく利用できるようになるといいですね。