今回は、「ダメだったり、ドジだったり、ヘンテコだったりが、すばらしい」をテーマに4冊をご紹介。
- 1.『りゆうがあります』ヨシタケ・シンスケ=作・絵(PHP研究所)
- 2.『ぼく、ドジオ。』いわい としお=作・絵(小学館)
- 3.『グレッグのダメ日記』ジェフ・キニー=作・絵(ポプラ社)
- 4.『百まいのドレス』エレナー・エスティス=作/ルイス・スロボドキン=絵(岩波書店)
『りゆうがあります』
ヨシタケ・シンスケ=作・絵(PHP研究所)
-幼児から大人まで-
「理由」は聞いてみるものです。
子どもがついやっちゃうこと。ハナをほじったり、びんぼうゆすりをしたり、ごはんをボロボロこぼしたり、ストローをかじったり…。
お母さんにおこられるけれど、子どもたちがついやってしまいます。クセって抵抗できません。それを堂々と行うには、ちゃんとした「りゆう」がないといけません。
でも、大人には思いつかない、ユニークな発想と思わず笑っちゃう理由を、子どもはひねりだしてきます。こんなにおもしろい理由をひねりだす毎日の努力は、きっとすばらしい思考力を持つ大人へと成長するにちがいありません。
ヨシタケ・シンスケさんの絵本には、考える楽しさ、発想の面白さがいっぱいです。
【作者】―ヨシタケ・シンスケ(1973~ )神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。いま日本でももっとも人気のある絵本作家です。
『ぼく、ドジオ。』
いわい としお=作・絵(小学館)
-低学年から大人まで-
ドジだってだいじょうぶ
運動が苦手で、いつもドジばかりの小学1年生トシオくん。お姉ちゃんから「ドジオ」と呼ばれています。そんな「ドジオ」くんですが、ほしかった工作の本を買ってもらい、夢中になれることを見つけると、がんばり始めます。
この「ドジオ」くんの話は、作者の「いわいとしお」さんの子供時代のこと。工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚め、後に世界的に作品が評価され、大ベストセラー絵本『100かいだてのいえ』の絵本作家にもなるのです。
考えてみれば、子どもはすべて「ドジ」っ子です。できないことだらけの中から、夢中になれる何かを見つけて育っていけばいいのです。
【作者】―いわい としお(1962~ )愛知県西尾市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻総合造形コース修了。在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少受賞。2002年東京大学先端科学技術研究センター特任教授。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示や、ニンテンドーDSのアートソフト『エレクトロプランクトン』なども手がける。『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』(以上、偕成社)が、ベストセラー絵本になる。『アイデアはどこからやってくる?』(河出書房新社)などの著書がある。
『グレッグのダメ日記』
ジェフ・キニー=作・絵(ポプラ社)
-中学年から大人まで-
ダメほど面白いものはない!
アメリカで大人気シリーズとなった、グレック少年のダメダメな日常生活を書いた本。
優等生より劣等生の方が、実は人間的で面白い。やることなすことうまくいかないけど、それにはいろいろな理由もあって、グレッグと世の中との折り合いがつかないだけです。日記を書く事にした理由も、将来有名人になったときに説明が必要だと思ったから。
この本からは、さまざまな失敗談を通してアメリカの学校生活や、子供たちの遊びの様子、大人たちの考え方まで、面白く伝わってきます。
楽しいイラストもふんだんに描かれているので読みやすくできています。人気の出る本には、やっぱり魅力があるものです。
【作者】―ジェフ・キニー(1971~ )アメリカ生まれ。児童文学作家。メリーランド大学カレッジパーク校卒業。本名はジェフリー・パトリック・キニー。 児童文学作家としてデビューする前は、アメリカ・オオンラインゲームの開発者およびデザイナー、漫画家として活躍していた。「グレッグのダメ日記シリーズ」が爆発的なヒット。2009年度アメリカTIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選出。
『百まいのドレス』
エレナー・エスティス=作/ルイス・スロボドキン=絵(岩波書店)
-高学年から-
なぜみすぼらしい彼女に才能が宿ったのか
名作「百まいのきもの」の新装復刻版です。貧しい家に生まれ、友だちのいないワンダ。
いつも同じ服を着ていることを同級生にからかわれますが、そのたびに、「ドレスを百枚もっているの」と言い続けました。もちろん誰も信じてなぞいません。実際にドレスを持っていたわけでもありません。
でも、ワンダは頭の中に素晴らしいドレスを百枚持っていたのです。彼女が描いた百枚のドレスの絵は、それまで馬鹿にしていた同級生たちを仰天させました。美しいドレスへの憧れは、彼女の才能を育てていたのでした。
ぜひとも読んで欲しいアメリカの古典的名作です。
【作者】―エレナー・エスティス(1906~1988)。アメリカ・コネティカット州生まれ。高校卒業後、公共図書館に勤める。病気療養中に最初の作品「元気なモファットきょうだい」(1941年)を書き、この作品が好評を得たため作家活動を始めた。1942年「ジェーンはまんなかさん」、1943年「すえっこルーファス」を発表。1952年「ジンジャー・パイ」で、アメリカ児童文学の最高の栄誉・ニューベリー賞を受賞。1988年5月、アルバータス・マグナス大学から名誉博士号が贈られました。
わが子のドジやヘンテコ、大いに楽しもう!!
いかがでしたか?きっと本を読めば普段のお子さんのとのやりとりも、より楽しいものになるかもしれませんね。ぜひお手にとって見てください。
著者プロフィール
- 佐藤友樹
- 小学館の通信教育「名探偵コナンゼミ」の作問者。予備校講師、受験塾講師などを経て、国語問題の作成および分析のプロとして活躍。言葉への造詣が深く、愛情をもった指導に定評がある。著書に、ドラえもん学習シリーズ『ドラえもん国語おもしろ攻略 百人一首を楽しもう』『ドラえもん国語おもしろ攻略 敬語早わかり』(ともに小学館)など多数。