2023年8月19日(土)・20(日)にパシフィコ横浜で開催される「ちゃお×りぼん ガールズコミックフェス」。2大女児漫画誌が初めてタッグを組んだ話題の少女漫画の祭典を目前に、『ちゃお』萩原綾乃編集長、『りぼん』相田聡一編集長の対談が実現!両誌ならびに少女漫画界の今とこれから、そしてイベントの見どころについてお話しいただきました。
目次
- 1 二大女児漫画誌が初のコラボ!ガールズコミックフェスとは?
- 2 女子小学生が好きなものはすべてなくてはならないのが「ちゃお」(萩原) 少女漫画の名作がそろっているという「りぼん」のイメージを追求していきたい(相田)
- 3 今の子どもたちに届けるための少女漫画作りとは
- 4 女子小学生に適した漫画であるかどうかは、 彼女たちに届けたい強い想いがあるかどうか
- 5 漫画で伸びる力とは?小学生にこそ、漫画を手に取ってほしい理由
- 6 小学生の教科書となりうるエンタメは減っている?2大女児漫画誌が担うものは―
- 7 友だち、親子で一緒に楽しめる少女漫画フェス!みどころは?
- 8 9月号は両誌のコラボ企画も実現! この夏女子小学生に最推しのイベント「ガールズコミックフェス」へ行こう!
二大女児漫画誌が初のコラボ!ガールズコミックフェスとは?
―りぼんとちゃおが初めて一緒にイベントを開催するということで注目を集めていますが、このタイミングで初めてコラボしたのはどういう想いからでしょうか。
萩原 ジャンプフェスタやコロコロ魂といった少年漫画誌のイベントが盛り上がっていますが、少女漫画も今、本当に面白いと思うんです。なので女の子たちが「少女漫画すごいよね!」とみんなで盛り上がれるイベントをできるだけ大規模で作りたくて。
相田 りぼんとしては、ちゃおさんにお邪魔させてもらう、という気持ちもあるんですよね。作家さんたちも「せっかく一緒にできるんだからちゃお読者にりぼんを読んでもらいたい!」という気持ちを持ってくれているようです。
萩原 ちゃおの作家さんたちも気合いが入っていて、今回のイベントにあたって描き下ろしていただいたイラストなどを見ると、とても素晴らしいものに仕上げていただいた感触があります。
相田 同志でありライバルであるという感覚ですよね。今の読者のパターンとして、買うのはりぼんかちゃおどちらか1冊、あるいはその違いを知らずになんとなくどちらかを手に取っている、というケースが多い気がしているんですが、それぞれの読者が両方の良さを知るいい機会なのではと思います。
萩原 とても良い化学反応が起こるんじゃないかと。
相田 はい。今回のイベントが少女漫画界全体の活性化に繋がってほしいですね。
女子小学生が好きなものはすべてなくてはならないのが「ちゃお」(萩原)
少女漫画の名作がそろっているという「りぼん」のイメージを追求していきたい(相田)
―お二人が持っているそれぞれの印象を教えていただけますか。
萩原 りぼんは恋愛中の女の子の気持ちが全てわかる「ザッツ・少女漫画」。実はりぼんはちゃおと比べてページが多くて、ちゃおがだいたい1作品31ページなのに対してりぼんは巻頭で60ページ組むことも。細かで丁寧な描写はとても読み応えがあるなあと思います。
相田 ちゃおは付録、巻頭特集、アニメタイアップといった、雑誌としての作りで小学生の女の子の心を掴むのが本当にうまいですよね。
萩原 ちゃおは少女漫画でもありますがエンタメ誌でもあるので、小学生の女子が好きなものは全部ここになければならないと思っています。
相田 エンタメ誌の要素も強く持つことでトップに上り詰めていったのがちゃお。だからこそりぼんは「漫画で頑張ろう!」という気持ちでいます。漫画雑誌としての在り方はすみ分けていきたいなと。
萩原 『ハニーレモンソーダ』(村田真優/集英社)はまさしくりぼんの象徴的な作品ではないでしょうか。カラーイラストや着ているお洋服も毎回素敵で、キスシーンをとっても毎回ひとつひとつの表現がとてもかわいくてオシャレ。ちゃおが女子小学生の「王道」なら、りぼんが「リーダー」という感じがします。
相田 りぼんのイメージはうまいこと一人歩きしてくれていて、少女漫画の名作が揃っているという、かつてりぼんが少女漫画のトップを走っていた頃のイメージを持たれている気がします。僕らとしては、そこに近づきたい、という意識が常にある。昔がすべて良いということではなくて、少女漫画の名作とはどのようなものなのか、突き詰めて再現していきたいです。
萩原 表紙でもそれぞれの持ち味が出ていますよね。薄い色で全体がまとまっていてきれいなのがりぼん。実はちゃおでこれを真似しようとしたことがあるんです。でもやはり違うなと(笑)。赤!青!といったはっきりしたカラーを使った元気いっぱいで華やかな感じがちゃおなんですよね。
相田 そういえばちゃおの表紙の女の子って、絶対に口が開いてますよね。
萩原 そうなんです!表紙は絶対に元気な笑顔。作品の中でも喜怒哀楽がはっきりしてます。対して、りぼんは大人っぽい表情ですよね。
相田 僕は特に意識はしてなかったですけど言われてみると確かにそうですね。ちゃおと同じ事はやっちゃダメ!という意識が強いのかもしれませんね(笑)。
今の子どもたちに届けるための少女漫画作りとは
―今小学生の女の子を育てているお母さんたちの中には、両誌を読んで育ったかたも多いと思います。
萩原 今のお母さんたちはおおよそ、ちゃおの発行部数が最大だった世代。「自分の子どもにも読ませたい」という感覚で選んでもらいやすいはず。なのに、情報量・コンテンツの多さから、子どもたちが少女漫画を選び取ること自体が難しいのかもしれません。
相田 少女漫画を読んだことがない女の子が多いんじゃないかな。何か別のコンテンツと比較して負けているわけじゃなくて、そもそも、手に取ってもらったことがない。
―その状況で、今と昔で漫画の作り方が変わっているという感覚はありますか?
相田 漫画の中身を変えることはあえてしないほうが良いと思っています。昔の子どもが見て面白いものは今の子どもも面白いというのは信じていたい。今どきのものを取り入れるのは、センスだったり絵柄だったりという部分でいいのかなと。
萩原 なるほど。私はわりと変化を感じています。例えば共働き世帯が増えたことで、少女漫画の王道である「お嫁さん」への憧れが薄れていたり、小学生の女の子の「憧れ」の選択肢が昔と比べ多様化していますよね。
―加えて、情報化の流れもあるのでしょうか。
萩原 そうですね。本来バーチャル世界に抵抗のないデジタルネイティブなので比較的ありえない設定でもスッと受け入れられる一方で、より精度の高いフィクションが求められているのかなと。これは多様化・情報化の影響だと思います。
女子小学生に適した漫画であるかどうかは、
彼女たちに届けたい強い想いがあるかどうか
―子どもたちがコンテンツに手を伸ばしやすくなったことで、近年、本来小学生向けではない漫画やアニメが小学生に大人気になるケースも多く、過激な描写にドキリとした経験がある保護者のかたも多いようです。
相田 実は数あるエンタメの中でこんなに年齢を区別して作っているジャンルは漫画の他になかなかないと思うんですよ。だからこそ、漫画を作るうえではそれぞれのターゲットに正しく届けることを意識すべきだと個人的には思っています。
―では、女児漫画誌を作る上で、小学生に適した表現かどうかの判断基準はどのようなものなのでしょう?
相田 表現の判断基準というよりも、作家さんが小学生の女の子に向けて届けたいものがあったうえで、その表現を描くことが小学生の女の子のためになる、という作り手側の意志が大事かと。「しっかり女子小学生に向けて作っているものです!」と自信を持って言えるのが我々の強みなんです。
萩原 そうです!ちゃお、りぼんは、女子小学生に向けた2誌です!ちゃおの場合は、お母さんが自分の子どもに与えて安心かどうか、は絶対に意識しています。また、ファンレターでは友達との関係や恋愛相談をするお子さんも多いので、それを受け取った作家さんたちも子どもたちに寄り添った漫画を描くことができるんじゃないでしょうか。
漫画で伸びる力とは?小学生にこそ、漫画を手に取ってほしい理由
相田 最近は漫画アプリやSNSで直接感想を書き込むことが多い中で、ファンレター文化が残っているのもこの2誌の良いところですよね。ちなみにりぼんでは作家にあだ名をつけるということを伝統的に徹底しています。
萩原 親しみがあっていいですよね。漫画を読んで感動してその気持ちを文章で伝える、という体験は子どもたちにとって素晴らしい体験になると思います。文章を書く練習にもなりますし。
―そもそも低学年からたくさん漫画を読んでいるお子さんは賢いイメージがあります。
相田 そう言っていいかわからないけど、そう言いたいですね(笑)。慣用句など、ちょっと難しいかな、という表現も学齢の低い子どもにあわせて変更するということもほとんどないので、語彙力は増えると思います。
萩原 ちゃおもりぼんも、総ルビ(すべての漢字にふりがながついている)なので漢字は覚えますよね。単純に知識を増やすほかにも、起承転結などの構成を作る力、文脈を読む力なども伸びると思います。
小学生の教科書となりうるエンタメは減っている?2大女児漫画誌が担うものは―
―子どもたちがたくさんのエンタメに手を伸ばすことができる中で、おふたりは女児向漫画誌の在り方をどのように考えていますか?
萩原 「人を好きになる気持ち」「家族や友だちを大事にする気持ち」を通して、こんなにまっすぐなメッセージを出せる雑誌って、女児漫画誌の他にないと思うんです。成長過程にいる子どもたちに、あたたかい気持ちをしっかりと伝えていくことができるのが、ちゃおやりぼんだと思っています。
相田 そうですね。その年齢の女の子たちのお手本になりうるエンタメがちゃおとりぼんです!と言いたいです。本来、子どもにとってのエンタメは「こうなりたい」といった憧れを生み出し、道筋を示しうるものですが、小学生だけをターゲットとしたエンタメはどんどん減っているのが現状。小学生のために作ることができる女児向けの漫画誌として、その使命をしっかりと担っていきたいです。
友だち、親子で一緒に楽しめる少女漫画フェス!みどころは?
―今回のイベントの見どころを教えてください
萩原 今回本当に企画がすごいんです!サイン会をはじめ、2誌の人気作家さんが一緒に登場するスペシャルステージの普段見られないトークやプレゼント企画も豪華ですし、Sho-Comiも加わった合同原画展もあります。描き下ろし色紙や作家さんたちのライブドローイング企画も楽しんでいただきたいです。
―各企業ブースさんも女子小学生の大好きな企画が詰まっていて豪華だなと思いました。
萩原 無料で参加できるカラーリングや缶バッジ制作のブースも華やかですよね。あと、お土産がとにかくすごい量なんですよ。当初の想定より多くなったのでお土産の袋を大きくて厚いものに仕様変更しました(笑)。友だち同士はもちろん、親子で楽しめる仕掛けもたくさんありますので、ぜひ、多くの方に来場していただいて、少女漫画の楽しさを思う存分味わってほしいですね。
9月号は両誌のコラボ企画も実現!
この夏女子小学生に最推しのイベント「ガールズコミックフェス」へ行こう!
イベントを記念して、9月号ではそれぞれの人気連載作品である、ちゃお『シャイニング!』(作・まいた菜穂)と、りぼん『ハニーレモンソーダ』(作・村田真優)のコラボ企画が実現!2誌を繋げて完成するコラボ表紙の他、とじ込み付録のカードには、両作者がそれぞれの作品をトレードして描き下ろした主人公たちのイラストも。
2大女児漫画誌の想いが詰まった「ちゃお×りぼん ガールズコミックフェス」は8月19日(土)・20(日)パシフィコ横浜で開催!入場無料で楽しめる史上最大の少女漫画の祭典をぜひチェックしてみてください!
【イベント概要】
日程/2023年8月19日(土)・20日(日)
時間/9:00~16:00 ※最終入場15:45
会場/パシフィコ横浜 展示ホールD
料金/入場無料