「作文」とは自分の想いを誰かに伝えるための自己表現です。作文できちんと自分自身を表現できるようになると、他者の見つめ方や接し方も自然と変わるようになります。
しかし、「作文は苦手」「書き方が分からない」と感じる小学生のお子さんも少なくはないよう。同時に、その状況にどうアプローチすればいいか悩んでいる大人も多いのではないでしょうか。
今回は、作文が苦手な子どもに対して、大人はどうサポートすべきかをご紹介します。
なぜ子どもたちは作文が苦手なの?
みなさんは、「作文」と聞いて、何を思い出すでしょうか。
多くの答えは、小学生時代の「読書感想文」や「日記」、行事後の「感想文」などではありませんか?
用紙を渡され、「感想を書きましょう」と先生からの一言。用紙を前に、なかなか鉛筆が進まない、書き方が分からない…。それは当然のことだと思います。
例えば大人になった今、「あなたの人生を語ってください」と一言いわれ真っ白の原稿用紙が目の前に。どこからどんな風に?と困りませんか?
では、こんな風に問われるとどうでしょう?
「学生時代の友人関係が、現在の自分の性格にどのような影響を与えているのかエピソードを交えて書いてください。」
もちろん、後者のほうが書きやすいですよね。
子どもだったら尚更そうなのです。「感想文を書きましょう」では、漠然としすぎててどこから手をつけていいものかわからないのです。
より具体的な質問で子どもの表現を引き出す
そこで、必要なのは質問形式の下書きです。子どもの読書感想文を例にとってみます。
1 題名を見てどんな内容を想像したか
2 主人公に聞いてみたいことは?
3 主人公と自分を比べてみて、同じところ、違うところは?
4 セリフや場面で好きな言葉、嫌な言葉は?
5 主人公が、もし自分の友達だとしたらどんな話を一緒にしたい?
こんな風に、親が子どもに問いかける用紙を作ってあげます。子どもがその質問に答えていくだけで、立派な感想文が仕上がると思いませんか?
年齢によって質問の内容を変えたり、質問の数を減らしたりで対応もできますね。
読書感想文にありがちな、
「おもしろかったです」
「また読みたいです」
「主人公みたいになりたいです」
といった締めにもなりません。
大人が子どもの作文を否定しない
もうひとつ、大人が子どもの作文に関わる時にとても大事なポイントがあります。「子どもの作文を否定しない」ということです。
学生時代は、ちょっとした感想文や一日日記みたいなものを書くことがたくさんありますよね。
自分はこう思った、こうしたい、何に感動して、何を不快に思った、こういうことが好きで、こういうことが嫌い・・・など、経験やその時に思ったことを書いていくという作業は、自分がどういう人間であるのかを都度確認し、それが変わる瞬間があればまた塗り替えていくというような作業だと言えます。
つまり、書くことは自己の確立につながっていくのではないでしょうか。
だとすると、それを大人が否定するというのはNG。子どもたちの素直な心の動きや変化を否定することなく受け止めていくことを繰り返すことが大事です。そうすることで、子どもたちも「書くことが楽しい自己表現の方法」であるとわかれば、作文に苦手意識を持つこともなくなるかも知れませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。作文は書くこと。書くことはコミュニュケーションです。お子さんとやりとりをするつもりで、大人が手を貸しつつ、お子さんの自己表現を肯定的に見守る気持ちを持ちながらお子さんの書く力を伸ばしていけるといいですね。