作文力を高めるために欠かせないのは適切な指導ですが、残念なことに学校教育において十分な作文指導が行われているとは言い難い状況です。
そんな子どもたちのために、作文力.comが作文が得意になるためのメソッドを惜しみなくご紹介します!(監修:立命館小学校国語教育アドバイザー・岩下修先生)
登場人物
岩下先生:立命館小学校国語教育アドバイザー、名進研小学校国語科顧問。だれでも書けるようになり一生使える作文の書き方を全国の子どもたちや教師に発信中。“作文の神様”ともよばれている。好きな食べ物はトンカツ。
さくこちゃん6歳(小1):作文が苦手な女子。作文を上手に書いて、みんなをあっと言わせるのが夢。悩めるお年頃ではあるけれど、基本ポジティブ。
さくこちゃんママ(35歳、主婦):作文嫌いの我が子のことを心配しつつも、温かく見守るやさしいママ。口癖は「今日の夜ご飯は何がいいかしら」。
第1回 まずはテーマ・文字数・用紙を決めよう
◆テーマは大人に決めてもらってOK!◆
さくこ:岩下先生!よく学校の先生が「自由に好きなことを作文に書いてごらん」と言うけど、何について書いたら良いかわからないんです。悩んでいるうちに時間が過ぎてしまって、嫌になってしまいます。
岩下:誤解をしている大人も多いけど、「何かを書け」と漠然とした指示を出されても、子どもたちにとってすごく難しいことなんだ。だから、心配することはないよ。テーマは大人に決めてもらって良いんだ。
メソッドその1 作文のテーマに悩んだときは、周りの大人と相談してみよう!
岩下:もし作文のテーマに悩んだら、お母さんやお父さんに聞いてごらん。「どんな作文が読みたい?」「どんなことを知りたい?」って。もしくはお母さんと一緒に、「どんな作文を書こうか?」と相談しても良いよ。
さくこ:じゃあ早速ママに聞いてみる!ママー!ママはどんな作文が良いと思う?
ママ:うーん、そうね。お正月おばあちゃん家に行ったこととか、運動会のこととか、日曜日にパパと動物園に行ったこととか…どうかしら。
岩下:そういう特別なイベントや出来事にこだわらなくても良いんですよ。単純に、ママが「さくこちゃんのどんなことを知りたいか」を言ってみてください。
ママ:それじゃあ、ママの作ったご飯で何が好きか、学校の勉強で何が苦手かが気になるかな。あ、さくこの一番大切な「たからものは何か」についても知りたい!
岩下:それじゃあ、今回は「たからもの」について書いてみようか。「出来事」について書くよりも、最初は「物」について書くほうがおもしろいよ。物について書いているのに、自然とそこに感情が織り交ざって、自分の気持ちに新たに気づくこともあるからね…。あ、ちょっと難しい話になったけど、次のステップに行こうか!
◆文字数の目安と用紙の特徴を知ろう!◆
さくこ:私たくさん文章を書くのが苦手なの。このくらい書かないとダメという決まりはあるの?
岩下:「作文はできるだけ長く、たくさん書けないとダメ」と思っている人もいるようだけど、そんなことはないよ。目安として一年生の秋以降から200~250文字、二年生は250~300文字、三年生以上で300~400文字で書けるようになるのが目標かな。ダラダラ長い作文を書くよりも、言葉を選んで与えられた文字数で書けるようになることの方が大切。大丈夫、書き方を知れば、ぐんぐん書けるようになるから!でも、用紙の選び方にはちょっと注意が必要だよ。
さくこ:用紙の選び方って?
岩下:ます目のある原稿用紙のほかに、作文を書くときには罫線用紙を使うこともある。それぞれの特徴を知った上で、自分に合った方を選んでみよう。さくこちゃんには、罫線用紙がおすすめかな。
メソッドその2 「原稿用紙」と「罫線用紙」を使い分けよう!
<<<罫線用紙の特徴>>>
・作文を書きなれていない子におすすめ
・残りの文字数を気にせずに書ける
・「ますを埋める」という行為に気をとられず、のびのび書ける
・たくさん書きたいときに残りの行数が少なくなってきたら、字を小さく書けばよい
<<<原稿用紙の特徴>>>
・作文を上達させたい子におすすめ
・読み手側が読みやすい
・「文字数」という制約を受けながらストーリーをまとめる構成力が身につく
・原稿用紙の正しい使い方を学ぶことができる
さくこ:そうか、必ず原稿用紙に書かなくても良いんだね。でも先生、さくこは原稿用紙に挑戦したい!原稿用紙の正しい使い方を教えてください!
→次回へ続く
★アドバイス★
テーマを決めるときに悩んだら、こんなことをテーマにしてみましょう!
★もしも○○だったら、というテーマで書いてみる…「もしも自分が動物だったら」「もしも願いごとが一つ叶うなら」
★自分が知っている人について書いてみる…「隣の席の○○ちゃん」「大好きな音楽の先生」など、その人の行動や見た目の特徴などを書く
★手紙風に書いてみる…「大好きなおばあちゃんへ伝えたいこと」「忙しいパパに言いたいこと」など
★今日あった出来事で一番○○だったことについて書いてみる…「今日一番こわかったこと」「今日一番おいしかったもの」「今日一番くやしかったこと」
★目標について書いてみる…「今年の夏休みの目標」「明日までに必ずやっておきたいこと」
【 岩下修 】立命館小学校国語教育アドバイザー、名進研小学校国語科顧問。だれでも書けるようになり一生使える作文の書き方を全国の子ども達や教師に発進中。“作文の神様”ともよばれている。著書『作文の神様が教えるスラスラ書ける作文マジック』(小学館)ほか多数。※4段落作文について、詳しくは『スラスラ書ける作文マジック:岩下修 @小学館』にて掲載されています。
▼岩下修先生関連の記事
・作文の神様が教える!目からウロコの作文の書き方マジック
作文の書き方を身に付けるなら「8歳まで」ってほんと!?