まなびwithが開発した思考力や表現力を鍛えたり、自分の意見を整理したりするのに役立つ『思考の達人ツール』。
今回は、この思考の達人ツールを使って「高学歴漫才師」である田畑藤本のおふたり、田畑祐一さんと藤本淳史さんの思考力を紐解いていきます。おふたりと一緒に思考の達人ツールの使い方を徹底攻略していきましょう。
※2021年3月でまなびwithはサービスを終了いたしました。2021年4月から、「思考の達人ツール」は小学生向け通信教育「名探偵コナンゼミ」にて展開しています。
どんな経緯で、高学歴漫才師に?
思考の達人ツールを使ってみる、その前に。まずはおふたりことについても少しお話を聞かせていただきましょう。「高学歴漫才師」の謳い文句どおり、おふたりは「高学歴&高学校歴」。田畑さんは立命館大学経営学部を、藤本さんは東京大学工学部を卒業しています。受験勉強ってどうやってやってたの?どんな経緯で漫才師に?色んなことを質問させてもらいます。
おふたりの最初の出会いについて教えてください。お互いの第一印象などは、覚えていますか?
藤本 僕らは、中学校が一緒やったんですよ。そこで、同じクラスで。
田畑 そうですね。ただ、当時は頻繁に会話をした記憶はあまりないかも。最初の中間テストのときにどの科目でも100点とってるやつがおって、「なんやあいつスゴい!」って印象深かったのが、藤本でしたね。
藤本 そう、その頃から僕は頭がよかったんで(笑)。田畑は逆に、明るくて社交的な人という印象。でもそんなに当時の接点はなかったですね。
-おふたりとも、いわゆる「難関大学」を卒業していますよね。受験勉強はどのように行っていましたか?
田畑 僕は高校からすでに立命館大学付属の高校を選択していたので、大学受験はしてないんです。内部進学、というやつですね。大学受験がないぶん、学校生活を充実したものにできた実感があります。
藤本 僕は真逆ですね。東大受験のために、すごく勉強しました。基本的に学校から課題が出るんで、まずはその課題を忠実にこなすことですね。詰め込みな側面もあったけど、どうしたら効率よく進められるかをつねに考えていました。京都府の高校だったので、クラスメイトの志望校は京都大学ばかり。東大志望者は数人だった気がします。
―漫才師を志したのは、何がきっかけですか?
田畑 う~~~ん。きっかけって、ないんですよね。関西出身だからなのか、小さい頃からの「芸人になりたい」って、誰しも持ちうるんですよ。よく、男の子はみんな「サッカー選手になりたい」みたいなこと言うでしょ?あれと同じ。関西の子どもは、みんな芸人になりたいんです。
藤本 そうそう。それはありますね。なりたいとずっと思ってた。
田畑 もちろん、ずっと芸人一筋だったわけではなく大学時代に自分が何をしたいんだろうかと探したんです。経営学部の勉強も、教員免許もとったし、留学して英語もやった。
藤本 僕も工学部の機械工学科に進んで、順調に大学生活を過ごしていました。でも、あるとき気づいたんですよね。周りの人が、「東大」ばかりで「理系」ばかりで。それっていいのかな?と。人間関係が、同じような人ばかりで固定しているなって思ったんです。この先も、同じ人たちばかりの世界にいるべきなのか、迷いました。もっと様々な人と接するような仕事が、自分はやってみたいなと、そのときに気づいたんでしょうね。
-それでふたりで漫才を?
藤本 僕は、一緒にお笑いやるなら田畑しかおらんと思ってました。アイツがいちばん面白い、と。
田畑 まあ僕は最初、そこまででもなかったんですけどね(笑)。
―藤本さんが口説き落としたんですか?
藤本 口説き落としたなんてとんでもない! 最初はメールでの「お問い合わせ」ですね(笑)。田畑がお笑いをやりたいと言っていたのは知っていて、そこに対して、「お笑いやりたいの、何%くらい本気なん?」ってお伺いの連絡をしました。
田畑 僕最初、「50%くらい」って微妙な数字返してるんですけどね(笑)。でもそこからコンビを組んで、ふたりの経歴を活かそうってことで高学歴をネタにして笑いに変えるスタイルの漫才をはじめて、いまもそれが続いています。
漫才も受験勉強も、大勝負!
おふたりのことがよくわかったところで(受験勉強や学校生活で得られるものの話も、示唆に富んだお話でした!)、思考ツールに参りましょう。お題に合わせて、おふたりにベン図で遊んでいただきます。
ベン図は、物事を比較するときに使用する、思考の達人ツールのひとつです。一見まったく違うものも、整理することで共通点が見つけやすくなることってありますよね。
まずは、高学歴芸人という視点を生かして。「漫才と受験勉強」の比較をツールに従って考えてみます。制限時間5分で、思いつくだけ書いてもらいました。
まずは、田畑さん。
受験も漫才も、難しくって、やり始めたら底がない。そして、一発勝負。一方で、受験は公式などの積み重ねで、やるべきことを積み重ねての勝負だけれど、お笑いはその時々のお客さんや会場によってもコンディションが変わるため都度ゼロの状態での勝負になるのだということを考えてくださいました。
藤本さんはどうでしょう。
田畑さんが漫才は毎回状況が変わるからゼロからの勝負だ、と考えたことに対して、藤本さんは漫才も受験も「傾向と対策」なのだと考えたようです。過去の舞台の経験を思い返したり、VTRをチェックしたり。こんな工夫をしたら上手くいった、こういうお客さんはこういう反応、と経験を重ねることで着実にうまくいくことが漫才にはあって、それは受験にも通じていることなのだそうです。
同じテーマで取り組んでも、それぞれの視点によってまったく違うものが出来上がるのが、このツールの面白いところ。「これ、やり方に性格がかなり出ますね!」と言うのは田畑さん。お互いがつくった図を見ながら「あーそうか」「なるほど」と言う声が聞かれました。
お互いのこと、どれくらい知ってる?
次は、おふたりについて。田畑さんと藤本さんのおふたりを比べてみます。
田畑さんは「共通点、ないなぁ…」とつぶやきながら取り組んでいた様子。
属性や好きなもの、得意なことについて書き出されていました。
藤本さんはふたりの比較をさらに細かい視点まで掘り下げて捉えたよう。
星座や誕生日、兄弟関係などについての言及がありました。東大-立命館、の比較ではなく、東大―東大ではない、の比較なのが藤本さんらしさです(笑)。
藤本さんによれば、上手くやるコツは「先にどちらかの円に書くことをザッと一気に考える」ことなのだとか。「それからもう一方の円へ、対となる要素を書き加えていくとスムーズに考えることができました」。
文系と理系って、ぜんぜん違う?
最後は、おふたりの特徴の比較でも出てきた文系と理系を比較してもらいます。
藤本さんは「どんなことを使って行動したり考えたりしているか」から出発した様子。
数字を使いこなす層と言葉を使いこなす層。機械的に進める人と感覚的に進める人。ロジックを大事にする派とコミュニケーションを大事にする派。「ふいんき」を許すと文系、というのはちょっと面白いですね。
田畑さんは、文系理系の共通項としてあげてくれたものが特徴的です。
英語が必要、国語力も必要、数学力も必要。文系=国語、理系=数学、の固定化したイメージが強いけれど、そこは文理関係なく基礎としての力がどちらも大切であることを、自身がたくさん勉強して経験してきたからこそ、考えられているのかもしれません。
最後まで考えきって、俯瞰で考えよう。
3つの課題でベン図を使ってもらい、最後におふたりへ感想を聞いてみました。
田畑さんからは、「全体図がわかるというのはわかりやすく考えを整理できるんじゃないですか」との言葉。「考えをちょっと俯瞰で見れる。ふたつのものがどういうバランスになっているかがわかりやすいですね」。
そこへ「視覚的にわかるのは確かに役に立つかもね」と返すのが、藤本さん。「僕は、たくさん挙げていくやり方にも意味があると思いました。考えて、もうないなと思ったあとに、あとひと踏ん張りして2,3個要素を挙げてみる。すると最後にひねり出したやつが意外と重要なものだったりするのかもって思いましたね」。
今回はベン図を使ってもらいましたが、おふたりは普段の仕事の中でもこういった「ちょっと勉強になる」「学びになる」ようなことを意識した活動をされているよう。Youtubeのチャンネルなどでも、クイズを出題して解いてみたり、英語を使った企画を実施してみたりを意識していらっしゃるそうです。
目指すは「PTAが子どもに見せたいと思うお笑い」なのだとか。勉強というと大変で難しい側面もあるけれど、面白くって楽しくて、ためになることだって、方法次第でいくらでも可能なのだと、教えてもらうことのできるインタビューでした。田畑藤本さん、ありがとうございました!