小学校入学のプレゼントとして大変喜ばれる「図鑑」。その種類も多岐にわたり、例えば、小学館の図鑑Neoシリーズのラインナップは全23巻(2018年11月現在)、そのタイトルの中には「動物」「植物」といったスタンダードなものから、「危険生物」や「イモムシとケムシ」「岩石・鉱物・化石」など、小学生の興味をさらに深めるタイトルも出版されています。
今回の記事は、その図鑑を自作する遊びのご提案。オリジナル図鑑作りのメリットやその手法などをご紹介します。
目次
図鑑作りは思考力・判断力・表現力を育む!
2020年からは小学校でも教育が大きく変わります。
ただ単に知識を増やすだけではなく、自分の持っている知識をベースに、問題を解決する能力を養うための、思考力・観察力・表現力を育てることに力点が置かれると言われています。
ここで、上記で説明したことを、図鑑作りの際の、問題点と解決策、プロセスに当てはめてみます。
問題点
「わからないことを調べたい人がいるのに、そのために適当な図鑑がない」
解決策
例)「わからないことが調べられる、わかりやすい図鑑を作る」
解決のためのプロセス
- 「わからないこと」「知りたいと思うこと」は何かについて情報を集め、どういう図鑑にしたらいいか、全体像や載せるべきことをよく考える。(思考力)
- 「1」を元に、どうしたらよりわかりやすい図鑑になるのか、載せる情報を絞り込み、選択をしていく。(判断力)
- どうしたらわかりやすい図鑑になるか、レイアウトを練り、差し込むグラフやイラスト、文章を作成する。図鑑ができたら使ってみた人と意見交換をして次に生かす。(表現力)
いかがでしょうか。図鑑作りは思考力・判断力・表現力をフル活用するのに適していることがわかると思います。
せっかく作るなら、世界に一冊の「オリジナル図鑑」!
せっかく作るなら、お子さんオリジナルのテーマで図鑑を作ることをおすすめします。
子どもが何か習得する時に大切なことは「楽しみながら」学ぶ、ということ。
テーマ設定に縛りを設けないことで「遊び」の要素が強くなります。自由な発想を引き出すこともできますし、自分の興味のあることを積極的に調べる楽しさや、それらを最終的に図鑑として完成させる、という達成感をより体感することもできます。
あらかじめ既製品の図鑑を手にとってページをめくってみて、図鑑の作りや構成がなんとなくわかったら、オリジナル図鑑作りをスタートしましょう!
お母さんのために作った「家の中でなくなりがちなもの図鑑」
ここで事例をひとつご紹介。作ったのは都内に住む小学2年生の男の子。
お母さんが日頃「~がない!!ここに置いてあったのに!」と言うたびに一緒に探すのを面倒に思っているそう。お母さんが自分で探せるように、よくなくなるものと、見つからない時にありそうな場所のヒントをまとめたという、お母さんのための図鑑。
制作時間はわずか30分。手の込んだことはしてないシンプルな作り。表紙には家でなくなりやすいもの6つを順に羅列。
なくなる確率が高いものから掲載されている構成。1ページに2つのアイテムを掲載。タイトルは大きく、イラストは右に、など各項目の掲載方法がフォーマット化されています。
図鑑を作るときにお母さんに話を聞いてみた結果、それぞれがもともとあった場所も載せることに決めたそう。図鑑のおかげでものの定位置の共通認識ができるという嬉しい効果も。
ipadの項目には「ママが自分でかくした。わすれんぼう」という軽いクレームも。親子で楽しく作っているようすが思い浮かびますね!図鑑ができた後は「項目の分け方が分りやすい!」「絵が分りやすい」「表紙にイラストがあるといいね」とお母さんの意見もたくさんもらったそうです。
こういったユニーク仕上がりになるのも、オリジナル図鑑ならではですね。
テーマは子どもの興味があるものに。使う人を意識すると楽しく作れる!
テーマは子どもが興味を持って取り組めるテーマならなんでもOK。好きな戦隊ヒーローなどのキャラクター、緊急車両、お菓子、スポーツ選手、アクセサリー、コレクションしたぬいぐるみ、アイドル、かわいい文房具、通学路で出会う近所の人・・・テーマを子どもの興味のあることや、完成することで子ども自身にメリットがあるもの、とにかく楽しく取り組めるものに設定すると、最後まで取り組みやすくなります。
最後まで取り組むということが重要なので、図鑑で取り上げるものの数は5~10個もあれば十分でしょう。
またこの時、この図鑑を使って誰が助かるのかを意識すると、どういう風に説明をすれば良いのか具体的にイメージがわくため、先に書いたプロセス1~3が取り掛かりやすくなります。
幼児にも魅力的!興味のアンテナを広げるのに有効な、簡単図鑑作り
ちなみに、お子さんが幼児の場合は無理に図鑑を作ろう!と意気込まなくても、日頃のお絵かきに少しプラスすることで図鑑の要素を持たせることもできます。
例えば、動物が好きな子どもは、動物園に行って帰ってきたら動物の絵を描き始めるのではないでしょうか。そんなときには、絵に加えて、その動物の
- 「どんなところが好きなのか」
- 「どんな行動をとるのか」
- 「どんな特徴があるのか」
など、観察したことや調べたことなどを簡単にでよいので書かせてみたり、書くのが難しければ、口頭でも良いので挙げてもらっておうちのひとが書いてあげましょう。
それが集まると、その子だけの「動物図鑑」ができあがります。そして、公園で会った犬、猫、鳥、友だちの家のハムスターや金魚など、普段の生活の中で出会う動物にも目が行くようになります。先のプロセス通りに作るのと目的は変わりますが、興味の幅を広げていくのに有効と言えます。
一番大事!できた図鑑は必ず家族で見る!
この図鑑作りでもっとも大事なことは、できた図鑑を家族で見ること。そして、良いところをたくさん見つけること。また、もっとこうするとこうなるかも、と子どもに想像させてみること。
先にも書きましたが、子どもが何か習得する時にもっとも大事なことは「楽しむ」という要素です。一度作った図鑑を褒めてもらったり、それが家族の話題の中心になれば、「またやりたいな」と思ったり、自分のこのアイデアやまとめ方がよかったんだな、次はこうしたいな、など、図鑑作りにとどまらず、別の学習でも生かしていくことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?こういった制作系の活動は、自由研究など機会がなければやらない方も多いかもしれませんが、ちょっとした遊びの中で楽しみながら取り入れていくだけでも、お子さんのプラスになるはずです。ぜひ、気軽にトライしてみてください。