小学1年生になって、初めて書く読書感想文に四苦八苦したという子も多いのではないだろうか。もしここで「読書感想文は苦手…」という意識が根づいてしまうと、これから毎年苦労することになるので要注意。ぜひとも1年生のうちに、読書感想文を上手な書き方を身につけておくべき!
今回は青少年読書感想文全国コンクールを主催する全国学校図書館協議会の理事長・森田氏に、1年生が読書感想文を上手に書くテクニックを聞いてみた。
「最初」の一行は「最後」でよい
最初の一行がなかなか思い浮かばず、そこでつまづいてしまう人も多いはず。
森田「しかし、最初の一行目は必ず最初に書かなくても、最後に書いたって良いのです。まずは自分の思ったことを順不同に書き連ね、それを並べ替え、最後に全体の内容にふさわしい最初の一行を考案するとスムーズに浮かびますよ。」
最初の一行を最初に考えるのは、大人にだって難しい技とのこと。そこでつまづいてしまって、「読書感想文が書けない」という苦手意識を持ってしまう子どもも多いだろう。
書けないのは選んだ本が合ってない?
書きたいことが浮かばない、原稿用紙が埋まらない。そんな状態になったら、思い切って本を変えてみるのも手。
森田「何も浮かばないということは、その本を読んで何も感じなかったということ。それは自分の発達段階や感性に合っていない本だったのかもしれません。」
自分にはまだ難しすぎたり簡単すぎる本、楽しい物語が好きなのに悲しい物語を選んでしまった…。そんな理由で、筆が進まないこともある。
本を選ぶ際に教員にアドバイスをもらう
スラスラと読書感想文を書くためには、前項でも述べたとおり自分の発達段階や感性に合った本をセレクトすることが大切だ。しかし、なかなかそんな本を探すことができないという方は…。
森田「自分に合った本を選ぶためには、司書教諭や学校司書など、読書のプロにアドバイスをもらうのがおすすめです。自分の年齢や好きな本のジャンルを伝えて、興味を持てそうな本を選んでもらいましょう。近年は司書教諭が在籍している小学校も増えているので、ぜひ学校図書館も活用してみてください。」
近年の子どもたちは、読書量は減っていないものの、難易度の低い本を選ぶ傾向があるそう。それではなかなか読書力が身に付かないため、プロに自分の発達段階に適した本を教えてもらうのがベストだという。
登場人物に感情移入する
主人公に自分を投影して感情移入することができれば、自然と色々な文章が浮かんでくるはず。そのためには、一冊の本を何度も読むべき。
森田「何度読んでも苦にならない本と出合いましょう。本への愛着を持つという意味では、本は借りずに買うのがベターかもしれません。記念日等に買ってもらった大切な本の方が、子どもがその本を好きになる可能性が高いですから。」
まずは色々な本を読んでみる
読書感想文を上手に書くためには、大前提として「読書を好きになること」が欠かせない。
森田「読書を好きになるためにも、物語に限らず、知的興味をかきたてる図鑑や辞書など色々なジャンルの本を読んで、自分の好きなジャンルの本を見つけてみましょう。私たちが開催する読書感想文コンクールでは、広辞苑を読んで感想文を書いて入賞した子もいますよ。」
本を読むことで語彙が増える。語彙をインプットできれば、それを文章としてアウトプットすることができる。つまり、作文を書く力も向上する。
森田「最近の子どもたちは「キレる」「めんどくさい」など、自分の気持ちを漠然とした言葉で表現してしまう傾向にあるため、語彙力が低下していると言われています。まずはたくさんの本を読んで語彙を吸収することも、読書感想文を上手に書くコツですよ。」
<<森田盛行>>
青少年読書感想文全国コンクールを主催する全国学校図書館協議会理事長。過去には30年にわたり学校の教員を務め、司書教諭の資格を持つ。