今回は子どもを「怒ること」と「叱ること」の違いについてお話をしたいと思います。
先日ファミリーレストランで、母親と小学校高学年らしき女の子を見かけました。どうやら、お母さんが娘さんの塾の成績についてご立腹の様子。
「あなたなに考えてるの?なんのために塾に行かせてると思ってるの?この前のスイミングのときもそうだったけど…」
と、一方的に強い口調で話をしていました。しかも、塾の話をしていたのに途中でスイミングの話まで出てきて、お母さん自身が結局何を言いたいのか分からない状態になっていました。周囲の大人が聞いても、話の趣旨が分かりませんでした。
これは、ただ自分の感情を子どもにぶつけて怒っているだけです。(私にも身に覚えがありますが…)
感情をぶつけるのが「怒る」、相手を良い方向に導くのが「叱る」
「怒る」と「叱る」。 子育てをしていると、この違いについて考えるときがあります。
「怒る」というのは、子どもが自分が言った通りに動いてくれなかったときなどに、自分が腹を立てていることを子どもにぶつけてしまうこと。 八つ当たりのような感情的なものです。
「叱る」のは、相手をより良い方向に導こうとするために注意やアドバイスをすること。同じ間違いを繰り返さないために話をすること。道筋を立てて話ができる、論理的なものです。
子どもは、いくつになっても「してはいけないこと」をし続けるものだと思います。それを抑制するには「してはいけないこと」に「こうしたらいい」という他の方法があることを教える必要があります。それを伝えるために必要なことは、「怒ること」ではなく「叱ること」です。
次に、子どもを叱るときにやってはいけないことや、上手な叱り方についてお話しします。
こんな叱り方はNG!
人間性を否定する
「なんであなたはそんなにダメな子なの」 というような言葉は使ってはいけません。子どもは「自分はダメな子どもなんだ」と自信をなくすだけです。
兄弟や友達と比べる
「どうして、○○みたいにできないの?」 「○○はこんなことができるのに!」と他の子と比較をすると、反省するどころか子どもは傷つくだけです。
過去の話をもちだす
これは大人の喧嘩でも言えそうなことですが、「この前のピアノのときもそう言ってたでしょ」というように、過去の事例を持ち出すのは良くありません。子どもは覚えていない可能性があるので、納得してくれません。
友だちの前で叱る これは絶対にNGです。反省よりも恥ずかしい気持ちが先に出てしまいます。
こういった方法は、子どもの心を傷つけるだけです。 大人でも、ご主人や奥様に同じことを言われたら辛いでしょう。自分が言われたときのことを想像してみて、言葉を選んでくださいね。
それでは逆に、どんな叱り方なら効果的で子どものためになるのでしょうか?
子どものためになる叱り方のコツ
その場ですぐ叱る…過去のことを持ち出されるのは、大人でも子どもでも嫌なものです。
短く叱る…長々と話をしても、子どもは混乱しますし、疲れてしまいます。
叱った後は、一旦子どもから離れる…子どもにも一旦自分一人で考える時間を与えましょう。
人に聞かれないように叱る…子どものプライドを傷つけないようにしましょう。
大きな声ではなく、静かに低い声で叱る…大きな声を出すと子どもは委縮して、話の内容を冷静に理解できなくなります。
子どもの体に触れながら、目をしっかり見る…コミュニケーションをとりながら言葉を発すれば、より伝わりやすくなります。
本当に大事な話のときは、しっかり子どもと会話をする …一方的に自分が話すのではなく、子どもの意見も聞きながら会話形式で叱りましょう。
「叱る基準」を夫婦間で決めておくこと
あまり怒ることが多くなると、子どもの気持ちを傷つけてしまうのと同時に、本当に大切なことが伝わりにくくなってしまうことが怖いですね。
本当に大切なことを子どもに伝えるためには、普段から叱りすぎないように心がけることも必要です。
そのために、「絶対に厳しく叱る場面」を夫婦で決めておくと良いでしょう。夫婦で共通認識を持つことができれば、もしどちらかが子どもを叱っているときに、「それはそんなに叱るとこかな?」 と夫婦で気づけたり、自分も冷静になる材料になります。
叱りすぎたときは、親も素直に謝るべき
叱りすぎたら、親が子どもに「ごめんなさい」ということもときには必要です。
あまりにも叱り続けると、子どもの「自尊心」を傷つけ、「自己肯定感」を下げてしまいます。その傷を補うつもりで謝ってみてください。
「さっきはごめんね。お母さんイライラしてしまって叱りすぎたよね。」そう言ってあげれば、子どもはほっと安心します。そして必ず許してくれます。
我が家も先日5歳の子どもに怒りすぎてしまい、私が謝りました。子どもは、「怖かったぁ~」 と言ってました。 怖い思いをさせるだけで、物事の解決にはならないのですね。
子どもと同様、親もたくさん間違ったことをしてしまいます。 ですが、そのくり返しで自分なりの方法を見つけていくのだと信じています!