子育て

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悩める保護者座談会!教育のプロに聞く、子育て「あるある」5つの質問

さて最初に、保護者のみなさんへちょっとしたクイズを。
子どもの学力を伸ばすなら、時間を区切る?タスクを区切る?それともご褒美を見せる?
答えは、記事の後半で!

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子育てにまつわる悩みはつきないもの。
どの時代の保護者もが悩んできたことはもちろん、現代だからこそ生まれる悩みには、「自分のころと違う!」と解決策が手探りになってしまうことも多いのではないだろうか。

ひとりで解決できない悩みならば、みんなで持ち寄って考えればいい。さらには、専門家に答えを聞いちゃえばいいのだ。現代だからこそ生まれる悩みもあれば、現代だからこそつながりで解決できることだって多い。

そこで集まってもらったのは、小学生のお子さんがいる、4人の保護者。
陰山英男先生同席のもと、子育ての中の「あるある」な悩みを共有する座談会を実施した。

陰山先生といえば、「陰山メソッド」「百ます計算」で一躍有名になった教育の専門家。教育再生会議委員なども歴任しており、一般財団法人基礎力財団の理事長で、NPO法人日本教育再興連盟の代表理事で、全国学力アドバイザーもやっている。
要するに、教育界の重鎮だ。

《陰山先生のアンサー》
辞書をひかないことが悪いのではない。
わかったつもりになるのが、悪いのだ。

インターネットに答えを求めることそのものが、悪いとは思いません。辞書を引くよりも圧倒的に早く答えがわかるし、効率的であるといえます。というか、大人だっていまはわざわざ辞書をひかずにインターネットで調べたりしますよね。

ただし、何が悪いかといえば、ネットで調べて出てきたものだけを見て「わかったつもり」になってしまうことです。

何か単語を調べたのなら、その単語の意味だけを知ってもつかいこなせるようにはなりません。その単語を構成する漢字はどんな意味を持つのか、他にどのような文脈で使われるのか。そういったところまで理解するのが勉強です。

インターネットで調べるときは、表面的にわかったつもりになるのではなく、いちいち知識と理解を深める意識をもたせるように、お子さんへのアドバイスに気をつけてみてください。

大人だって辞書をひかない、という話には、耳が痛い気もする。検索して答えを得るのは悪いことではないが、それで「わかったつもり」になるのは危険なのだ。

 《陰山先生のアンサー》
勉強とは、「集中」の練習です。

集中力がある!それだけでも素晴らしいことじゃないですか。いいことだと思います。保護者のみなさんに知っておいていただきたいのですが、勉強には机について苦しむ努力と根性が必要という認識は古い価値観なので、とっとと捨ててください。

長時間続けることが大切ではないんです。短時間何かにガッと集中して目的を達成しているのであれば、それでOKなんですよ。

勉強は長くやることが大事なのではない、というのは、意外に盲点かもしれない。たくさん勉強すればいいってわけでもないんだなという、ごくあたりまえだがつい忘れてしまう視点に気付かされる。

ここで、冒頭で紹介したお悩みクイズも、陰山先生に答えを教えてもらおう。

《陰山先生のアンサー》
② じゃあ、このプリント3枚だけ頑張ろ!が最良。
ただし、③もダメではない。

大事なのは集中力をもって何かを達成することですから、目標の設定としては「何をやりきるか」を決めることが大事です。

よくないのは、時間を決めることですね。時間だけを決めてしまうと、時間を消化しようとダラダラとタスクをこなすようになります。本当は30分でできることを、こどもはわざと1時間かけるようになるかもしれないですよね。それじゃ意味がない。

大事なのは「これを終わらせるために頑張ろう!」と決めて、集中させること。集中のためなら、お菓子やゲームなどのご褒美時間があっても、いいと思います。

長くやればいいというものでもない、というのはお悩み2でもあったとおり。やるべきことを明確にして、それをいかに早く終わらせられるか、というクセをつけるのが大事なんだそうだ。

《陰山先生のアンサー》
大事なことは、変わりません。
ものをいうのは、基礎力です。

たしかに学習指導要領は変わり、暗記中心だった勉強が思考を鍛える勉強にシフトしていっているのは確かです。しかし、思考力が大切になったからと言って、強化すべきは同じ。基礎力です。

中学校に上がって数学でつまづく子は、小学校1年生の算数で、「繰り上がり・繰り下がり」の計算ができなかったというデータが出ています。つまり、つまづきは基礎から始まっているんです。

こういう場合は計算力を強化しましょう。簡単な計算でも、いかに正確に理解して、早いスピードでできるか。そこを見逃さないこと。基本的なことの強化をまずは意識してください。

いつになっても、強化すべき力は変わらないという基礎・基本の大切さがわかったところで、最後に出たのはこんな質問だ。

《陰山先生のアンサー》
長文が読めない読解力の弱さも、国語の基礎力不足ゆえです。
こちらも、数学が嫌いなのは小学校の算数でつまづいているから、という話と似ています。長文が嫌いなのは、わからないから。なぜわからないかというと、単語や文レベルでの基礎力がないから。長文が嫌いなお子さんは、よくよく聞いてみると、主語と述語の関係や修飾・被修飾の関係がわかっていない子が多いです。

単純な文章構造の理解にもう一度もどって基礎力を強化すると、長文も読めるようになりますよ。

保護者世代と違って、「イマドキ」の子育てがあるのかな?と考えて始めた座談会だったが、陰山先生からもらった答えはどれもベーシックな考え方。長い時間勉強すればいいってわけじゃない。大事なのは基礎力。言われてみると、「たしかにそうだな」と思うことばかりだ。

 子育てに必要なのは、特別な技術ではない。陰山先生に教えてもらったような、いくらかの大切なことを思い出しながら、子どもが基礎を身につける大切な時間に寄り添ってあげるだけでも、十分彼らの力になれるのかもしれない。

 
《陰山英男》
大学卒業後、小学校教員の経験を経て、「百ます計算」などの基礎学力向上の独自メソッドを提唱し成果をあげる。一般財団法人基礎力財団 理事長、NPO法人日本教育再興連盟 代表理事。

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