ことわざや慣用句を日常会話の中で使いこなせると、会話の内容も具体的になり、より楽しいものになるのはみなさんご経験の通りかと思いますが、ことわざや慣用句は小学生のころからどんどん吸収しておきたいもの。
なぜなら、ことわざや慣用句には「知恵」が詰まっているからです。
ことわざや慣用句は私たちの日常生活の中でずっと使い続けられてきた言葉なので、単純に言葉を覚えるだけじゃなくて生きていくための知恵を身につけることができます。ぜひ小学生のうちから慣れ親しんでおきたいものです。
今回は小学生のうちからことわざや慣用句を自然に身につけるための方法などをご紹介。お話をお伺いしたのは、たくさんの小学生の学習周りのお悩みを解決してきた小学館集英社プロダクションの石山絵麻先生です。
目次
そもそも、ことわざと慣用句の違いって?
先に書いたように、「ことわざ」と「慣用句」、この二つはどちらも昔の人の知恵が詰まったもので、私たちの日常生活の中でずっと使い続けられてきた言葉です。
たとえば、「体重の増加を気にしている友人に甘いお菓子を勧めたところ、怒られてしまい反省した。」という状況を、ことわざと慣用句を使って表現してみます。
「体重の増加に頭を痛めている友人に甘いお菓子を勧めたところ、腹を立てたらしく頬を膨らませながら『いらない』と断られた。口は禍の元だと思った。」
どうですか?その場の状況や心情がぐっと伝わりやすくなりましたね。ちなみに、後ろの文の中にある「頭を痛める」「腹を立てる」「頬を膨らませる」は慣用句、「口は禍の元」がことわざです。こうしてみるとことわざも慣用句も、私たちの生活の中にしっかり根を生やしていることが分かります。
では、ことわざと慣用句、なにが違うのでしょう?
厳密にはどちらかに分類できない言葉もありますが、一般的に慣用句は二つ以上の言葉を組み合わせて、元の言葉とは全く違う意味で使われます。それだけでは意味が通じず、会話や文章の途中に入れて状況や程度を伝える言葉として、習慣的に広く使われています。
「たくさん歩いて足が棒になった」「昆虫の話になると目の色が変わる」などのように使いますね。体の一部を使った言葉が多いのも慣用句の特徴です。
慣用句が単体で意味をなさないのに対し、ことわざはそれだけでも意味を持つ言葉です。
古くから言い伝えられてきた教訓や知識、戒めなどを短い言葉で表したものになります。「急がば回れ」「地獄に仏」など、誰しも、こんなことわざがぴったりくる状況に遭遇して「なるほど」と納得したことがあるのではないでしょうか。
ことわざにはうまく生きていくための先人の知恵やコツが詰まっています。
ことわざと慣用句、たくさんあるので覚えるのが大変ですが、それぞれの意味を知ると面白い発見があり、小学生のうちから「日本語って楽しいなあ」と感動できると思いますよ。
小学生のうちからことわざや慣用句を身につけるメリット
ことわざや慣用句には国民性や文化の違いが表れるため、日本人の考え方や慣習、価値観を知るきっかけになります。ネットや電子機器は日進月歩の勢いで進化していきますが、頭と心が柔軟な時期に自国の生活や文化に根付いた言葉をたくさん知ることはとても大切なことです。
また、小学生のうちに多様な表現を身につけておくことで、これから成長してさまざまな文学作品に触れる際には状況の把握と内容の理解を助けますし、自分が表現する作文などの幅も広がります。
「水を打ったような静けさ」「僕は自分の目を疑った」「一か八か試してみた」などの表現をちょっと入れるだけで、作品にぐっと奥行きが出ますね。
とはいえ、ことわざや慣用句は数が多いので、小学生のお子さんが丸暗記しようと思っても難しいものです。
特にそれだけで意味を持つことわざの理解は、昔の人が考えた知恵や教えを具体的にイメージしながら意味をとらえることが不可欠。「泣きっ面に蜂」であれば「大泣きしているところに蜂が飛んできて刺されてしまったら、どんなに痛くてつらくて困った状況になるだろうか」を想像して「悪いことが重なる絶望的な状況」が理解できます。そしてこの「イメージする」という練習が、想像力をはぐくみ読解力アップにもつながっていくんですね。
また、ことわざや慣用句については、言葉の知識として中学受験をはじめ受験問題でもかなり高い確率で出題されます。
覚えるのが大変!と思うかもしれませんが、逆に言うと、漢字と同じく、正しく覚えていれば確実に得点に結びつけることができる出題ジャンルです。
慣用句の出題形式で多いのは、目や頭などの体の一部を表す言葉の穴埋め問題と意味の似た言葉を選ぶ問題なので、小学生のうちは「手」「足」などグループに分けて覚えていくのがおすすめです。
たくさんありすぎる!どう覚えるのが効果的?
イメージする方法も有効ですが、家族の会話や読書などで初めて目や耳にすることわざや慣用句が出てきたとき、小学生であれば辞書を引いて調べることもよい方法です。
辞書を引くのは手間がかかることではありますが、オンタイムで言葉の意味や使い方を知ることができるので、自然にことわざや慣用句を身につけられます。
特にことわざには、現代ではなかなか目にしない言葉が使われていることがあります。
「月夜に提灯」や「提灯に釣り鐘」の提灯などは、一度調べておくと「チョウチンアンコウ」の名前の由来や「鼻提灯」などの言葉を見たときに「あの提灯からきているんだな」と納得することができます。
ことわざに多い「寸」や「分」という単位も、一度調べておくと、小学生でも大きさを実感しながら理解することができ、知識を広げることができるチャンス。ことわざを通して教養を増やすこともできますね。
そして辞書の他にお勧めなのは、さまざまなことわざや慣用句をテーマにした学習漫画。
小学生向けに4コマで分かりやすくまとめられているもの、意味や使い方が詳しく載っているものなど、キャラクターが話を進めてくれるものもあって何度も楽しんで読むうちに覚えられるお子さんも多いようです。お子さんが興味をしめしたら図書館や本屋さんをのぞいてみてくださいね。
カルタや一覧表を使うのも◎!ぜひトライしてみよう。
もっとたくさん覚えたい!という場合は下記の方法を試してみましょう。
◆ことわざや慣用句の一覧表をトイレやお風呂などの壁に貼る。
市販のものやインターネットで配布されている小学生向けものもありますね。貼って覚えるときの注意点は2つです。
①一度にたくさん覚えようとしないこと
ずらりと並んだ言葉には圧迫感があります。一度に覚えるのは10から20くらいに抑え、定期的に内容を変えましょう。イラストが入っているものがあればわかりやすいですね。
この方法で覚えるときは慣用句を仲間分けにするのはやめて、ばらばらにしたほうが効果的です。
②覚えようね!とプレッシャーをかけないこと
大人もそうですが、子どもたちは自信のない分野で試されることが苦手です。
一覧表にある言葉をおうちのかたが普段の会話の中で自然に使ってみましょう。「あ、それ知ってる!見たことある!」という反応があればしめたもの、お子さん自身が会話の中で使えるようになるまでもう一息、言葉は使いこなしてこそ身につきます。
◆ことわざが中心なのでおすすめ!「いろはかるた」
低学年のお子さんにお薦めなのは「いろはかるた」です。挿絵をヒントに意味などを考えて会話も弾みますし、いつでも気軽にゲームとして家族全員で楽しめます。
江戸・上方・尾張(大阪とも言われています)の3種類があり、「い」を例にとっても
江戸:犬も歩けば棒に当たる
上方(京都):一寸先は闇
尾張(または大阪):一を聞いて十を知る
というように、内容もずいぶん違いますのでそれぞれの違いを知るのも楽しいですよ。
小学生の語彙力トレーニングは「名探偵コナンゼミ」におまかせ!
いかがでしたでしょうか。
いろいろご紹介しましたが、日々の家庭学習の中に、ことわざや慣用句のトレーニングを盛り込んでいるのが、小学館の通信教育「名探偵コナンゼミ」。
名探偵コナンゼミでは、ことわざ、慣用句のほか故事成語、四字熟語など表現を豊かにする語彙の学習が充実しています。これらを小学校1年生から6年間、段階的に、そして繰り返し取り組んでいきます。
語彙問題として学習するだけでなく、読解問題や作文のテーマとしても、ことわざや慣用句を取り扱っています。低学年から高学年までいろいろなジャンルの問題の中で触れることで、覚えたことを学習の中でも活用する機会を多く設けているので、日常生活での豊かな表現の土台となります。
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ぜひチェックしてみてくださいね。
©青山剛昌/小学館 ©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996 ©名探偵コナンゼミLLP
著者プロフィール
- 石山絵麻 先生
- 小学館集英社プロダクション コンテンツ開発室所属。長年、教育事業に関わり、数々の保護者の学習周りのお悩みを解決してきた家庭学習のプロ。