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小学生の学習相談のプロに聞いた、いつの時代も変わらない勉強の悩みとは?/小学館の通信教育30周年記念企画

小学館の通信教育が2025年で30周年を迎えます。

小学館の通信教育では、現在提供している「名探偵コナンゼミ」を含むすべてのサービスで、教材提供とあわせて、会員に向けた学習相談を行ってきました。

今回は、これらの通信教育サービスで、長年、教育アドバイザーとして学習相談を担当してきた小学館集英社プロダクションの石山絵麻さんにお話を伺いました。

 

同じ内容の相談でも、子どもたちの性格や環境によって解決方法はさまざま。

 

石山さんがこれまで小学生と保護者の方の学習に関するお悩みに向き合ってきた中で、大事にしていることはどんなことでしょうか。

 

「通信教育サービスの特性上、対面での回答ができない分、どんなに一般的に多いご相談でも、できる限りそれぞれのお子さんに寄り添えるようなご返事を心掛けています。

『〇年生なら今頃は~の活動をしていますね。きっと張り切って取り組まれていると思います』

『通信教育をこれまで〇年も続けてこられた粘り強さが素晴らしいです』

という風に、そのお子さんのそのときの頑張りをきちんと認めてあげる言葉も大事にしています」

―なるほど。学習相談といっても、それぞれのお子さんの生活に目を向けて質問に向き合っているんですね。

 

「はい、そうです。質問に答える前に、それぞれのお子さんの理解度や達成度をきちんと確認することも大切で、やりとりが複数になる場合には、過去の質問なども考慮しつつ、ステップアップのアドバイスを行ったりもしますね」

 

ちなみに、多く寄せられる相談内容にはどのようなものがありますか?

 

「最近はYouTube視聴と学習時間に関するお悩みなどが増えたように思いますが、『モチベーションが上がらない』『国語の読解問題が苦手』『算数の反復問題を途中でほうり出してしまう』などは、いつの時代もお問い合わせが非常に多いです」

 

 

学習相談でよくある小学生の学習のお悩み3選!

 

学習お悩み①「学習意欲を上げるには?」

 

―これは本当に多くの保護者の方が知りたいことだと思います。

 

「そうですね。まず、めりはりをつけることによって、毎日の学習が楽しくなるように工夫できるといいですね。また、おうちの方が感心したり、ほめてあげたりすることも、お子さんの学習意欲をかきたてることにつながると思います。コツは具体的にほめること。

ほめる⇒自信がつく⇒意欲・興味が沸く⇒楽しさを見いだせる⇒良い影響が出る、という流れをイメージしてみてください。逆に小言が多いと、言われないとやらない、ということにもつながりますので注意しましょう。

勉強は何のためにするのだろうと、近い未来のこと、大人になったときのことも楽しく話しながらお子さんの考えを聞いてあげるのもいいですね」

 

―ゲームやYouTubeなど誘惑が多くなかなか勉強に切り替えられないという声も多いようです。

 

「はじめに机を片付ける、筆記具やノートをしっかり準備する、最初に音読をする、というように切り替えのルーチンをつくるのもよいですよ。

また、習い事などで忙しく時間が取れないお子さんも多いようです。その場合、宿題も予習も復習も全部やる!とあまり欲張らず、優先順位をつけて毎日続けられる時間だけにとどめましょう。毎日続けて習慣にすることが大切です」

 

学習お悩み②「国語の読解問題が苦手。どう取り組んだらいい?」

 

―コナンゼミでも、小1コースの序盤を除いては、毎月必ず何かしらの読解問題がありますよね。学年が上がって長文になると苦手になるお子さんもいるかもしれません。

 

「問題の文章全体から判断しなくてはいけない設問では、よく読んで大事なところに線を引いていく方法が効果的です。キーワードを探しだすことが大事ですね。とにかく、これは!と思う文や言葉に印をつけていきましょう。

後で、全体から読み取らねばならない問題が出てきたときに、大きなヒントになり、その部分そのものが答えになることも多いものです」

 

―低学年のうちから読解問題が得意になるようなコツはありますか?

 

「おうちの方と一緒の学習タイムがとれたらうれしいですね。一緒に物語を読んだり、図書館で本を探して借りてきたりして、読書への関心を深めることができると、読解問題も楽しく取り組めそうです。

登場人物への共感や反発を思いっきり話したり、おもしろがったりしてお話を楽しんでみましょう。文章を読むことへの興味がどんどん深くなっていくでしょうし、読解力、想像力、自分で考える力などを少しずつ育ててくれると思います」

 

学習お悩み③「計算問題を途中で投げ出してしまう」

 

―どうしても反復問題だと、飽きてしまったり、つまずいてイライラしたり、途中でやめたくなることは多いですよね。

 

「これも、これまでの頑張りを認める、できているところをほめるなどして自信をつけてあげたいですね。勉強することはおもしろい。分かることは楽しいことだと感じることができれば、落ち着いて学習できることが多いです」

 

―なるほど。「考え方の方向は間違っていないよ!」といったふうに、完全に正解じゃなくても部分的にほめることはできますよね。

 

「はい。なにより、おうちの方がきちんと見てくれているということは心の安定にもつながります。計算学習を見るときのコツとしては、下記を参考にしてみてください」

<計算学習を見るときのコツ>

  • 薄くてもいいので、簡単なドリルを用意して理解度や定着度を確認する。
  • 見直しを習慣化する(2回ずつ計算するクセをつける)。⇒ミスが減る。
  • 終わったらほめる。そうすることで計算の苦手意識が薄まり、ドリルが進む。

 

―学年が低いほど、集中の時間は短いですよね。そういうときによい声がけはありますか。

 

「低学年なら、学習にこだわらず、生活の中でつながりそうなテーマに結びつけて話しかけてあげるのがおすすめです。ひき算なら、『みんなで食べたら7個のミカンが3個になったね。』『3人でご飯を食べるから、お皿が1枚たりないね。』のようにおしゃべりするだけでも効果抜群です」

 

30年で築き上げた小学生の家庭学習のノウハウを、現代の子どもたちが必要とする形で届けたい。

 

―これまでいろいろなご相談があった中で、印象的なエピソードはありますか?

 

「マイペースなお子さんを心配してか、おうちの方から数回にわたり同内容の質問をいただいたことがありました。文通のようにやりとりをしましたが、目新しいアドバイスになればという気持ちで毎回切り口を変えてご返事していました。

やり取りしていく中で、気持ちに余裕を持たれながらお子さんに接している様子もうかがえるようになり、ある時、『今までの成果がでました』という明るいご返事をいただき、ともに喜んだことを覚えています。単にアドバイスの成果ということではなく、おうちの方、お子さんの努力の結果だと思うととても嬉しい気持ちになります」

―学習相談の在り方も様変わりし、最近は簡単なお悩みであればインターネットで解決する方も多いように感じます。

 

「そうですね。だからこそ、我々にいただく相談はご本人にとってはとても大切なことだということを意識しなくてはならないと思います。

また、名探偵コナンゼミでいただく相談内容には実際に解法アプローチに関するお問い合わせも多く、お子さんの学習に積極的に関わっていただけているんだなと素晴らしく思います。

学習指導要領も昔とは大きく変わり、子どもたちは試行錯誤しながら答えがひとつではない問いにたくさん挑戦していくことになりますので、おうちの方も学習に関わりながらお子さんの成長を応援してほしいですね」

 

―今後、会員の皆さんからの相談にどのように応えていきたいですか?

 

「はい。『名探偵コナンゼミ』の特長でもある思考力問題や複合教科問題などで、現代に必要なスキルを身につけてほしいと思いますし、小学館の通信教育がこれまでの積み重ねたものを活かしながら、普遍的な学びの力―学ぶことの楽しさや、自ら気づき、学ぶといった、一生続く学びのパワーのようなもの―をお子さんたちが培えるように、今後とも会員の皆様に寄り添っていきたいですね」

 

石山 絵麻さん プロフィール

(株)小学館集英社プロダクション 教育コンテンツ開発室所属。
長年、小学館の教育事業に関わり、数々の保護者の学習周りのお悩みを解決してきた家庭学習のプロ。現在も小学館の通信教育 名探偵コナンゼミ 教育アドバイザーとして数々の学習相談に向き合っている。

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