小学館の通信教育「名探偵コナンゼミ」がお届けする、入学準備シリーズ!今回はひらがなの練習についてご紹介します。
小学校に入学する前には、ひらがなが読めて簡単な文字であれば書けるように練習しておきたいものです。できれば自分の名前が書けるようになっていると安心です。
でも、お子さんによっては、ドリルやプリントなどの教材を前にしても、ひらがなを書く練習を嫌がってなかなか書けるようにならないまま、時間だけが過ぎていき心配が募ってきた保護者さまもいらっしゃると思います。
そこで今回はひらがなの練習について、注意すべきポイントをご紹介します。
目次
ひらがなの練習をする前に…手指の運動!
「文字を書く」という作業は細かな神経と筋肉を使う作業ですが、神経や筋肉が発達途中である就学前のお子さんにとっては、文字の練習はかなり大変な作業です。
なぞり書きや塗り絵を嫌がるお子さんの場合、筆圧や手首のトレーニングをすることで、文字の練習に楽しく取り組めるようになることがあります。おうちの中で楽しみながら文字を書くときの筆圧をうまく育てる、指先の筋肉と神経の訓練を紹介します。
トレーニング①ビンのふたをあける
ご家庭で意外と経験していないのが「ビンのふたを自分でまわして開ける」ことです。手首をねじることは運筆の基礎練習にもなりますよ。おはじきやキャンデー、お気に入りの小さなおもちゃなどを入れたビンを自分で開けるように促してみましょう。
トレーニング②プリンなどのシール部分を開ける
ヨーグルトやプリンを食べるときには上のシール部分を自分ではがすときには、指先に力を入れて引っ張る動作が必要です。この動作も良いトレーニングになります。商品によって開けやすさに差がありますので、最初は手を添えてあげてくださいね。
トレーニング③洗濯ばさみで何か挟む
おうちの方が厚紙を丸く切ったり四角く切ったりし、そこに洗濯ばさみをはさんで「お花」や「カニさん」を作る作業は指先の細かな神経を発達させます。楽しい遊びとして取り入れてください。
就学前のお子さんはぐんぐん成長しています。これらの作業を生活に取り入れることで、しっかりとした筆圧で鉛筆を使うことができるようになります。
ひらがなの練習をする前に…鉛筆の持ち方と姿勢を確認しよう
頼りなげな弱い線から、少しずつ力強い線が書けるようになってきたら、鉛筆を持ってみましょう。
弱い力でも太い線が書ける4Bくらいの芯が柔らかい鉛筆から始めて少しずつ硬度を上げ、入学までに2Bの鉛筆が自由に扱えるようになると理想的。
お子さんがどうやって鉛筆を持っているか確かめよう
鉛筆を寝かしすぎていたり、鉛筆を押さえている人差し指の第2関節から先が反っていたり、親指の付け根に鉛筆を入れ込んで人差し指の爪の上に親指が乗ったりしていませんか?
これらの場合、指に力が入りすぎてしまって中指が痛くなってしまいます。字を書くのが遅くて形が整わない、長時間の練習ができない、などは持ち方に原因があるケースが大半です。
下記のチェックシートで正しい持ち方をチェックして練習してみてください。
鉛筆の正しい持ち方のチェックシート
□人差し指が鉛筆にぴったりくっついている
□人差し指の先と親指の先が同じ高さの位置にある
□人差し指も親指も135度くらいに曲がっている
□両方の指の先は1ミリほど空いている
□ノートに対して鉛筆の傾きが55度~60度程度になっている
脇を締めて一転集中!トレーニングは家にあるあのアイテムを使って…
どうしても指先に力が入ってしまうお子さんの場合、お子さんの鉛筆を持っている側の脇があいてしまっているのではないでしょうか。
脇を締める姿勢は、力を分散させず一点に集中させることができるので、文字を書くときだけでなく多くのスポーツの基本姿勢にもなっています。脇があいた姿勢で文字を書くと、余分に力が入って指先が痛くなってしまったり、背中の中心線がずれてきたりしますが、これもおうちで簡単にトレーニングできます。
使い終わった後のサランラップの芯などを、字を書く練習のときに脇に挟んでみてください。脇があくと芯が落ちてしまいます。「これを落とさないようにしてね。」と声をかけていただくと、脇に力が入り、今まで鉛筆を支えていた指先の力を抜くことができ、正しい姿勢もキープできるようになります。
さあ、実際にひらがなの練習!
実際にひらがなの練習を始める際には、一画の単純な形のひらがな(く・し・つなど)のなぞり書きから始めてください。
上手になぞれるようになったらお手本をよく見て、隣に書き写していく練習に進めてください。
市販されている練習ノートを使うとおうちのかたがお手本を書く手間が省けます。
練習ノートをご用意されるのでしたらマス目が大きく、マスの中に十字の点線が入っているものが望ましいです。十字の線はお手本のバランスをまねるのに役立ちます。マスが小さいと、マスの中に収めるために小さく書かなければ、という思いがストレスになってしまいますので、マスの大きさにも注意しましょう。
単純な一画の文字の次は単純な2画(い・り・うなど)に進めましょう。書けるひらがなが増えるとお子さんにも自信がついて、少しずつ複雑な形のひらがなにも挑戦することができます。
幼児さんのひらがな練習あるある!「鏡文字」の正し方は?
鏡文字は幼児期によく見られます。文字全体が左右逆の形になっていたり、文字の一部が逆向きになってしまったりするのが鏡文字ですが、小学校1年生ぐらいまでは結構見られます。けれども、2年生にあがる頃には、直っていることが多いものです。
幼児期の特徴のひとつに、上と下・右と左などの「向きについての認識力」がまだ育っていないことがあげられます。
たとえばきゅうりが右に曲がっていても、左に曲がっていても、どちらもきゅうりであることに変わりはありません。きゅうりの曲がり具合と、文字の向きを同じように捉えて「どちらでもかまわない」と考えているようです。
鏡文字を直すために効果的なのは、正しい文字の形を覚える練習です。字を書く機会が増えると、だんだん定着してくるものです。繰り返し書く練習を、お子さんの負担にならないようにここでもゲーム感覚でやってみる工夫をしてみましょう。手で大きく宙に書いてみる、大人の背中に指で書いてみる…など。お子さんと一緒におもしろがってやってみてください。いやいや練習しても身につきませんよね。
また、いつでも正しい形と書き順を認識するために、書き順入りのあいうえお表を目につくところに貼っておくことが効果的です。
書き順を間違えたときに鏡文字になってしまうということがよくあるので、あいうえお表でいつでも正しい書き順を確認できる環境にしておくことをお勧めします。あいうえお表は、手作りでももちろんOKです。
書き順はおうちのかたと一緒に一画ずつ交代に書いて遊ぶと楽しく覚えられます。覚えたら、大きな紙にのびのび書いて遊んだり、お風呂でおうちの方の背中に指で書いてみたりしましょう。間違えてしまったときも、「ちょっと違っているみたいだよ。」と軽く伝えるぐらいにして文字への恐怖心を持たせないように配慮してくださいね。
ひらがな練習のモチベーションを上げるために!おすすめな声かけのしかた
お子さんにとって文字の練習は単調でつらいものです。
時には好きな色のペンで書いてみたり、大きな紙に超ビッグサイズで書いてみたりして遊びも取り入れてあげるのも効果的です。
それでも飽きてしまったら、その日の練習はおしまいにしましょう。慣れない文字の練習を頑張ったのですから、お子さんの字にあれこれ注意を与えるのもぐっと我慢して、上手な字をオーバーなくらいほめてあげてください。できるだけ具体的にその場面を一緒に想像して笑ったり楽しかったりという体験をしてあげましょう。
声かけの例)
- 「ゆっくり書けたね」
- 「まあるく書けたね」
- 「まっすぐで気持ちのいい線ね」
- (はみ出していたら)「元気いっぱいの字ね」
- (「わ」と書いたら)「わ~~~って、大きな声で元気に呼んでいるような字ね」
また、「はね」や「バランス」などは、気にしなくてよいと割り切ってもよいでしょう。
書きたい気持ちが一番大事。文字を書くことで楽しい時間を持つことができたら、明日へのモチベーションにつながっていきます。
それから、鏡文字を書いてしまった時など、間違ってしまったことを指摘されると機嫌が悪くなったり、落ち込んでしまったりすることがあるかもしれません。
悔しい気持ちは成長のモチベーションになりますが、ひどく落ち込むタイプのお子さんでしたら「ほめて伸ばす」に徹して、楽しい気持ちで気持ちよく練習できるよう配慮してあげてください。
地味な練習を繰り返し、お子さんが初めて自分の名前を書くことができた日はガッツポーズにハイタッチで大喜びしてあげましょう!