近年、学校教育の現場で「作文力」に対する注目が高まっている。
読解力や理解力を伸ばす「作文力」は学業をサポートしてくれるのはもちろん、小論文が課せられる大学受験や就職試験においても強力な武器になってくれるのは言うまでもない。社会人になってからも、企画書の作成やスピーチを行う際に役に立つ。まさに、“一生モノの力”と言っても過言ではない能力なのである。
その作文力の有無が、「8歳前後ですでに決まってしまう」と分析する人物がいる。
1~2年生の2年間が勝負!
「作文力は小学2年生、つまり8歳前後で決まってしまいます。それまでにきにきちんと作文指導を受けているかどうかで、3年生から一気に差がつきます。この差を埋めるのは、かなり困難だと考えて良いでしょう。」
そう話すのは、立命館小学校国語教育アドバイザー、名進研小学校国語科顧問を務める岩下修氏。立命館小学校では国語教員としてカリスマ的な存在であり、“作文の神様”としても知られる作文指導のエキスパートだ。
岩下 「吸収した言語をいかにアウトプットするか、その能力が固まるのは8歳前後です。それまでにきちんと作文指導を受けて構成力や表現力を身につけておけば、その後もスムーズに作文を書くことができるのです。」
長年教員を務める岩下氏の目から見ても、3年生になると個々の生徒の作文力の大きな差が目立ち始めるのだという。
そのため、作文を書き始めるベストなタイミングもある。
岩下「作文を書き始めるベストなタイミングは、ずばり1年生です。それより早いと、まだ字をほとんど覚えていませんから、早ければ良いというわけではありません。つまり作文力を高めるには、1~2年生の2年間が勝負なのです。」
1年生は作文を始める絶好のタイミング
1年生になると学校の授業でひらがな・カタカナを習い始める。さらに「生活課」の授業が始まることで、学校探検をしたり、地域の人々と触れ合ったり、色々な体験を通じて言葉を一気に覚える時期なのだ。
岩下「こうして語彙が増えていく1年生は、作文力を高める絶好のタイミングです。1年生は学ぶことに意欲的ですし、どんどん色々なものを記憶して吸収します。そして吸収した文字を、もっと使いたいと思う時期でもあります。単語を使うだけではなく、文章を書きたいという意欲がぐっと増すのです。」
そして教科書などを通じて、文章の存在を認識する。そこで「話す」以外に「書く」というコミュニケーションの方法があることに、新たに気がつく時期でもあるという。
岩下「ぜひ1年生のうちに、書いて伝えることの楽しさを知って欲しいです。書いて伝えることで、相手と新しい関係を作ることができますから。」
子どもの人生に、一生関わってくる作文力。その力を高めるために、ぜひ1年生のうちから子どもたちがたくさん作文を書く環境を作ってあげて欲しい。
<<岩下修>>
立命館小学校国語教育アドバイザー、名進研小学校国語科顧問。だれでも書けるようになり一生使える作文の書き方を全国の子どもたちや教師に発進中。“作文の神様”ともよばれている。著書『作文の神様が教えるスラスラ書ける作文マジック』(小学館)ほか多数。
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