子育て

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子どもから体調不良の訴え。本当に体調不良?それともストレス……?/永井智先生の“心が軽くなる”不登校・行きしぶり相談室【第3回】

小学生のお子さんの不登校や行きしぶりに関するお悩みに、永井智先生(立正大学副学長・心理学部教授、公認心理師および臨床心理士)が答えていく全5回の連載企画「永井智先生の“心が軽くなる”不登校・行きしぶり相談室」。

第3回は、「子どもの体調不良の見きわめが難しい。本当に体調不良?それともストレス……?」です。

記事の最後には、永井先生によるお手紙カウンセリングのご案内もしていますのでぜひチェックしてみてくださいね。

 

 

長期休み後にたびたび体調不良を訴えるのは、心因性?

今回いただいたのは、長期休み後に体調不良を訴えがちな娘さんに関する質問です。一過性のものと思いつつも、たびたび起こってしまうと、毎回どう対応するのか迷ってしまうようです。

無理する必要はないが、社会に属していてほしい。どう接するのが良い?(小2・女の子 保護者)

長期休み明け、少しだるそうな様子があり、頭痛と発熱で早退。翌日は元気に学校に行くが3時間目から気持ち悪いと保健室に行ったそうでまた早退となり、その後も調子が上がったり下がったり。

学校での友達トラブルは少しあった様子だったけど(一緒に遊んでもらえなかったとかそんなこと)、本人はそれと体調不良は関係ないと言っている。

本当に体調不良があるのかもしれないけど、心因的な要因もあるのかなと心配しています。長期休み後にこういうことが起こりやすいので、きっとこの先もあるんだろうなと。

親としては「また?だるくても仕方ないじゃない、学校で椅子に座ってるだけでいいのに。」という気持ちがある。

私が子どもの頃も嫌なことはたくさんあったが、学校を休むという選択肢はなかった。学校は行くもんだと思っていた。それがよかったかどうかはわからない。

娘に対しては、体調悪いのに無理してまで行くことはないし、無理して勉強を頑張ったり友達と仲良くしたりする必要もない、ただ社会には属していてほしいとは思います。

一過性のことかもしれないけど、度々あるので、その度にどう捉えてどう関わればいいのかわからなくて悩みます。

 

同じようなお悩みをお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。一緒に永井先生のコメントを見ていきましょう。

 

 

長期休み明けはストレスやプレッシャーが生じやすい

今回は、長期休み明けに不調が出やすいというご相談を頂きました。長期休み明けのタイミングはストレスが生じやすく、それによって不調が出ることは、小学生にとって珍しいことではありません。ある程度時間に余裕のあった生活から一転して、決められたスケジュールの中で勉強や集団生活を再開しなくてはいけませんし、お子さんによっては、気持ちを切り替えて頑張って学校に行こうという気持ちが、かえって自分にプレッシャーをかけてしまうような場合もあります。

 

このように、生活時間の変化やそれに伴う生活の負荷の変化などによって、緊張が強まったり、疲れがたまったりすることで、結果的に身体にも不調が出やすくなります。とはいえ、こうした不調は一般的には成長とともに出現する頻度も徐々に減っていきます。

 

 

不調の原因がストレスだった場合の症状の出方

そのためまずは、身体の不調が、長期休み明けの一過性のものなのか、そうではないのか見当がつくと良いでしょう。本当に身体的な病気がある場合もありますので、気がかりな場合は、しっかりと医療機関で診察を受けることも重要です。しかし、身体的な原因が見当たらず、一過性のものでもなさそうな場合は、お子さんが何らかのストレスを感じている可能性も考慮する必要があります。ストレスによる身体の反応は、典型的には、疲れや発熱、だるさや頭痛、食欲の低下、睡眠リズムの乱れなどですが、人によって出方はさまざまです。また、不安や落ち込み、逆にイライラの気持ちが増えることもあります。

 

ただし、一つ注意しなくてはいけないのは、小さいうちは、自分の不調がどこから来るのかを理解できるわけではないということです。むしろ、自分のストレスがわからないからこそ、身体の不調という形で表に出る場合もあります。

 

 

子どもにはまだ、自身のしんどさを理解するのは難しい

お子さんの説明はもちろん尊重する必要はありますが、お子さん自身もわかっていない可能性を前提に考えることが重要です。親としても戸惑うこともあると思いますが、「なんだかわからないけど身体がしんどくなる時というのもあるよね」「自分でも気づかない間に疲れていたのかもしれないね」と、わからない気持ちを受け止めて、無理をしないでよいことを伝えることが大切です。その上で、必要に応じて学校の先生と連絡を取りつつ「学校で何か変わったことはなかったか」など、丁寧に情報を共有し、サポートをしていくことが大事です。

 

また一過性の体調不良については、子ども自身が自分の状態を受け止め、身体の不調に落ち着いて対応していけるようになることを少しずつ目指していけるとよいです。子どもはまだ身体の不調への理解や対処にも経験が多くありません。そのため、何か身体の不調を感じても、自分に何が起きているのかはまだ十分わかりません。

 

大人であれば、身体の不調を色々と経験することを通して、「少し様子を見てみれば大丈夫」「これはちょっと病院に行った方が良い」「一旦休めばどうにかなりそう」といった判断をすることができます。一方子どもは、こうした経験がまだ少ないため、何かいつもと違う感じを経験した時に、何が起きていて、どうしたらいいのかなどがわからず、不安も高まりやすいのです。

 

 

子どものコンディションを観察し、一緒に整理していく

そのため、お子さん自身が状態を受け止めることができるよう、一緒に身体の不調に落ち着いて対処できるとよいでしょう。子どもが自分の状態を落ち着いて言葉にできるよう、「今日はどんな感じ?」とゆっくり一緒に観察していくことも大切です。たとえば「ちょっと不調だけど、座っていればおさまりそう」「今日は横になって休んだ方が良さそう」など、身体の状態を一緒に整理していくことで、子どもは自分の体調への理解や対処の仕方を少しずつ身につけていきます。

 

 

「学校に行ってほしい」「でも無理してほしくない」で揺れるのは子どものことを想っているからこそ

こうした対応を行うには、親の方も落ち着いた対応が求められます。しかし実際は、お子さんの体調の波にどうしても気持ちが振り回されてしまうものです。

 

学校に行ったと思ったら早退をしたり、今日は大丈夫かと思ったら調子が戻らなかったりということがあると、「また?」と疲れや苛立ちが出てくることもあるかもしれません。忙しい毎日の中で、そうした気持ちになることも当然のことであり、自分を責める必要はありません。学校へ行くことについて「学校は行くもの」という気持ちと「無理してまで行くことはない」という気持ちの間で揺れるのも、どちらもお子さんのことを想っているからこそ生まれる気持ちです。

 

しかし、せっかく子どものことを想っているのに、親の方が余裕をなくしてしまったり、それによってお子さんとの間で摩擦が生じてしまったりするようなことがあっては、親子双方にとって残念なことです。まずは、親の方も落ち着いて子どもの状態を受け止めていくことができるとよいですね。

体調や気持ちの揺れの出かたは、子どもによってさまざまですが、そのたびに丁寧に受け止め、必要なサポートを積み重ねていけば、親子で対応していくことのできる幅が広がっていきます。また、心理的ストレスがあったりするような場合やそれ以外の心配事があるような場合は、学校や相談機関と連携しながら一つずつ向き合っていくことができますので、どうか一人で抱え込みすぎず、周囲の支援も活用していってください。

 

 

永井先生プロフィール

永井 智先生 立正大学 教授

<経歴>
立正大学副学長・心理学部教授。公認心理師および臨床心理士の資格を有し、専門は発達臨床心理学。

特に「援助要請行動」に関する心理学的研究に注力し、「助けを求められない」子どもや若者への支援の在り方を探究している。筑波大学大学院博士課程修了後、2008年より立正大学に着任。スクールカウンセラーや精神科クリニックでの心理士としても活動経歴があり、臨床と教育の両面から心理支援の現場に関わり続けている。

著書に『中学生における友人との相談行動』など多数。

 

永井先生より、読者の皆さんへ

今回たくさんのご質問を拝見して、多くのご相談で担任の先生やスクールカウンセラーの方など、学校との連携ができると良いなという感想を持ちました。具体的に何か学校から対応してもらうようなことまでは必要ないという場合でも、情報共有をしながらお子さんを見守っていくことで、何かが起きた場合でも迅速な対応ができるようになります。

何らかのご事情で学校との相談が難しい場合は、その他の公的な相談機関や、支援を専門としている医療機関、民間の支援機関、大学の心理相談室などもぜひご活用ください。

私からの回答も、頂いた情報の範囲で状況をイメージしながらお伝えしているものですので、ご相談には書ききれないご事情などがある場合もあると思います。親御さんご自身も、悩みながら日々お子さんを支えておられることと思います。どうか一人で抱え込まず、周囲の支援を得ながら、少しずつお子さんと一緒に歩んでいけることを願っています。

 

お手紙カウンセリングのご案内

永井先生とお手紙交換をしてみませんか。

言葉にしてみることで、心の中が少し整理されたり、不安や悩みを落ち着いて見つめ直せたりするかもしれません。

お送りいただいたお手紙には、先生から丁寧なアドバイスを添えてお返しします。

ゆっくりと言葉をやり取りすることで、少し心が軽くなる―――そんな時間をお届けできたらと思います。

お手紙カウンセリング概要

■対象:
小学生のお子さまがいらっしゃる保護者さま

■料金:
2往復:4,000円

■先生からのお返事のボリューム:
1,200字程度/1回あたりのお返事

■募集人数:
2名/ひと月あたり

■ご利用の流れ
①空き枠を問い合わせる(本フォーム)
②空き状況と入金方法の案内
③本申し込み・お支払い
④お悩み記入フォームへの記入(1回目)
⑤先生からのお返事を郵送でお届け(1回目)
⑥お悩み記入フォームへの記入(2回目)
⑦先生からのお返事を郵送でお届け(2回目)

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